住職に聴く! タオサンガ篇(8)

和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。

喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?

遠藤 喨及
東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください。 http://endo-ryokyu.com/blog/

 

 

-- 前回のインタビューでは、住職がお念仏を始めたころに師として出会われたご僧侶の方が、元神風特攻隊のパイロットだった。そしてその方の法話は、弁栄教学を土台としたものだった、とうかがいました。

住職: はい。

-- 教学と聞いただけで、「難しそう!」と思ってしまいますが、、、。(笑)

住職: 弁栄上人の光明大系は、たしかに難しいですね。最初に聞いた時は、僕は高校中退後の18歳後半だったし、聖書は読んでいたけど、仏教をテーマにした本なんて二、三冊しか読んだことがなかった、と思います。

-- それでも二、三冊は読まれていたんですね。

住職: 般若心経の訳とか、数年前に亡くなった紀野一義さんの本などは少し読んでいました。二十歳になってからは、僕の憧れの放浪の詩人たちには、仏教がらみの人が多いというのもありました。

-- どんな人たちですか?

住職: 西行法師とか、山頭火とか、放哉とかね。それに一遍上人なんて、僕にとってはスーパースターでしたね。

-- へぇー。

住職: それにある意味、弁栄上人こそは、放浪の聖ですよ。一所不在、家を持たずに全国を伝道して巡っていたのですから。

-- そうなんですね。

住職: 弁栄上人の伝記を読んだら面白かった。でも、教義が説かれている光明大系は、経典レベルで、とても理解できない。

-- ああ、そうですか。

住職: その方は、1時間の法話中、ずーっとその難解な内容を説いて下さるのです。でも僕は、必ず眠ってしまっていました。「起きていよう!」と頑張るのですが、なぜか必ず寝てしまっていました。

-- ははは。

住職: 結局、何回法話を聞いても、途中で必ず眠ってしまう。
で、ある時、それはちょうど成人式の日だったんですが、その方のお寺で4日間の別時念仏(合宿して集中的に修行すること)があったんです。

-- へぇー。

住職: 僕は、東京からヒッチハイクして、茨木市のお寺に行って参加したんです。

-- ああ、そうだったんですか。面白い! 成人式の替わりというわけですね。

住職: 母親が「あんたは成人式すら出ない」と言って、嘆いていましたよ。あはは。

-- あれあれ。

住職: で、最初1日、2日は法話に出ていたんですが、やはりどうしても眠ってしまう。

-- ああ、、、。

住職: 途中からは開き直って、“どうせ眠ってしまうんだから、法話に出ても仕方ない”。と、そこに来てた人の子どもと遊んでいました。

-- ようするにさぼっていたんですね。何か言われなかったですか?

住職: 終了日、最後の念仏が終わった後に、廊下でお上人とすれちがったんですよ。

-- はい。

住職: そしたら、すれ違う直前、お上人が僕の前で立ち止まったんです。僕は、“あっ、こりゃ、法話さぼってたこと何か言われるな”と思いました。

-- でしょうね。

住職: そしたら、ね。“遠藤くん、よく来てくれたね。ありがとう、ありがとう”と言って、突然、僕の手を握って、大きく振って握手を始めるんですよ。それを、もう何度も何度も激しく続けたんです。

-- えーっ!?

住職: 法話以外では、完全無口、という人だったから、僕はもうビックリしちゃって、、、。握手の嵐からようやく解放された後は、驚きの余韻で、しばらくはボーッとしてたぐらいです。

-- へぇー。

住職: ただ、僕にしてみたら、これでさぼるお墨付きを得たようなもんです。それからは、法話はさぼって念仏だけ出る、というスタイルを取っていました。授業をさぼるのは、高校以来お手のものですしね。

-- ははは。

住職: で、数ヶ月ぐらいたってからだと思いますが、ある時、何気なく法話にまた出てみたんですよ。そしてら、突然、面白くなっていたんですよ。もう、語られる言葉の全ての意味があまりにも深く、本当に面白くてね。僕は、うなるような気持でノートを取りながら聴くようになったんです。

-- へぇー、それはまた劇的な変化ですね。一体、どういうわけなんでしょう?

住職: 念仏だけはしていたから、修行が深まるにしたがって、わかるようになったのかも知れません、、、。実は、ね。その頃のメモの一部が、まだ残っているんです。

-- あっ、そうなんですか?

住職: そういえば、法話の書き起こしもあったかも知れません。それは僕がしたのではなく、他の方が書き起こされたものですが、、、。
まだあるかは不明ですが、法話メモは、家にあるのを探してみます。おそらく次回に、その一部をご紹介できると思います。

-- それは楽しみです!

 

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テルアビブでの仏教ワークショップ