心の輝きこそが理想の未来を実現する ―チャトランガ篇(11)―

住職に聴く!

和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。
喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?

プロフィール

遠藤 喨及 東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください

チャトランガは未来から来た

 

人間が持つあらゆる要素を表現

--この一ヶ月の間、長野の阿弥陀寺で、1日12時間、ぶっ通しで
音楽念仏を唱え続ける「念仏ハイ!」という修行イベントが、三泊四日で
行われました。

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阿弥陀寺の本堂でのお念佛

住職: はい。初めて参加された人も多かったけど、皆さん、いろんな体験を
されましたね。

--日中は朝から12時間ずっと修行して、夜のひとときにはチャト
ランガのボードを囲んで対戦している人もいて、その雰囲気がまたいいん
ですよねー!

住職: ふふ、修行は真剣にする。また、そこから離れたときは軽く一杯
飲りながらくつろぐ。そして、子供になって遊ぶ。これが和田寺タオサンガ
のスタンスですものね。

みんなで歌を録音
アースキャラバンのテーマソング録音風景

--このスタンスは、どういう考えから生まれたものなんですか?

住職: 人生なにごともギャップが大きいほど、面白くなります。それに
一人の人間の中には、いろんな要素が潜在しています。それらを開発したり
表現すればするほど、人間としてより豊かになるんです。

--人の中には、子供みたいな部分や破壊衝動みたいな部分もあります。
それらを盤上にゲームで表現するチャトランガは、内なるものの表現の
ひとつなんですね。

住職: はい。人間なら誰しも持っている暴力的なものは、適切に表現する
ことで昇華される必要があります。なぜならそのエネルギーは、表現する
場を求めて必ず外へと向かうからです。

--すると通常は、どうなるのですか?

住職:ボクシング観戦とか、スポーツなんかで昇華しようとする人もいます。
負のエネルギーが適切に昇華されないと、表現の場を求めて、いじめや犯罪と
して現れることすらあります。

--なるほど。

住職:ただ、この「犯罪として現れる」というのは、「犯罪者になる」と
いうことではないんです。僕はむしろ、逆の視点から今ものを言っています。
つまり、誰しも持っている内なる暴力性。これが適切に表現されないとどう
なるのか? 人々のそういうエネルギーは、脆弱な自我を持っている人に
憑依し、犯罪(いじめも犯罪です)を起こさせるのです。

--なるほど、そういう見方があるんですね!

住職:戦争の目的は企業のお金儲けです。しかしそれを可能にするのは何か?
それは、為政者やマスコミによって、他国の人々への憎しみを焚き付けら
れた民衆の賛同です。

--内なる暴力が昇華されないと、そのエネルギーは戦争や犯罪として
現れる、ということなんですね。これに対してチャトランガは、誰しも
内に持っている破壊衝動を、子供みたいな戦争ゴッコで演技し、同時に
知的な戦略として表現するものなんですね。

住職:はい。

--チャトランガには、人の持つ負のエネルギーをポジティブなものとして
昇華し、人生を創造的なものにするという役割があるということなんですね。

 

霊的ステージと子供性

住職:ところで、平和がどのようなプロセスを経て生まれていくものなのか
についての話しを、以前途中まで始めていたんですが、つい寄り道をして、
ずい分時間がたってしまいました。(笑)

--お話しは、世界に平和が生まれるプロセスの第一フェイズ(段階)と
しては、IT革命というコミュニケーション手段の発達。というところまで
(心の輝きこそが理想の未来を実現する(7))でした。

住職:ああ、そうそう。インターネット自体も、戦争の道具として発達した
ものだったんです。

--戦争の道具だったものが、やがて平和に役立つようになる、、、これも
反転現象の1つなんでしょうね。

住職:ITというハードができたら、次はソフト。戦争が無くなるための
ステップ。次のフェイズでは、人と人が、言語の違いを乗り超えてどう
語り合うことができるかが、テーマになるんです。

--今の社会にとっては、とても重要なテーマですね。

住職:チャリティクスでは、お互いの手に、人生観や性格が表現されます。
盤上では、「ああ、キミはこう来たか。なら僕はこうするよ。」と、遊び
ながら言葉を超えたコミュニケーションが行われます。言わば、今この瞬間、
自分がどう人生を生きているかを、お互いにゲームを通じて、非言語領域で
語り合っているんですよ。

--なるほど。

住職:コミュニケーションは、より高度で繊細なものになればなるほど、
左脳よりも右脳で行われるようになります。大脳新皮質による言語よりも、
旧皮質の原始感覚によって、非言語領域で行われるやり取りになっていく
んです。

--そうなんですか。

住職:気や経絡を認識するのも原始感覚です。また仏教で説く、人間界より
高度な天上界の世界も、遊び戯れるところで、もちろん労働なんてありま
せんよ。

--良いですねえ!

住職:そこにあるのは、言語を超えたコミュニケーションだといいます。

--へぇー。

住職:霊的レベルが上がるほど、心の自由性が増して、子ども性を発揮できる
ようになるんです。

--エラそうにしかめっ面しているのは、逆に、心が不自由だからなんですね。

住職:人類は、霊性、精神性の発達にしたがって、文化も遊びも発達し、
健康的な子ども性が発揮されるようになる。さらに自身と地球、また人類の
未来を考えて行動するようになる。物質以上のものが発達してこそ、人類の
発達と言えます。

--先の“霊的、精神的に発達すればするほど、自然の子ども性が発揮される”
というのも、そうなんですね。これもまた、大乗仏教からいえば、“相反する
ものの融合”の1つなんですね。

住職:チャトランガの読み合いは、常に変化し、発達します。ゲーム上の
やり取りは、無意識の語り合いです。だからこそ、そこには勝ち負けを
超えた意味があるんです。それは言語に頼るよりも、ある意味、高度な
コミュニケーションです。チャトランガはコミュニケーションを、お互いの
心の中にある「子どもの部分」を使って行っているんです。

--あっ、戦争ゴッコみたいに、“ババババ”!なんて撃ち合いの演技
したりしてね。(笑)

住職:そもそも、人と人が友だちになるとすれば、それは、お互いの心の
中の「子どもの部分」でコミュニケートできたときなんです。だから、
自分の内なる子ども性を表現し合うというのは、健全な人間関係にとって
必要です。また、そのような場を持つことは、精神の健康を維持にする上
でも、大切なことだと思います。

--たしかに、そうですね。

 

未来の視点で観るとわかるチャトランガ

住職:チャトランガは、戦車など第二次世界大戦中の武器がコマになって
いるでしょう。

--はい。

住職:まあそれで、「戦争ゲームなんて、、、あなた何考えてるの?」と
大人の方に叱られちゃったりしたんですけどね。(笑)

--ははは。

住職:チャリティクス観の違いは、“未来を前提としているか? あるいは
現在を前提としているか?” の違いでもあるんですね。

--どういうことなんですか?

住職:チャトランガは、戦争そのものがすっかり過去の遺物になった未来を
前提としているんです。言わばこれは、「戦争なんかないんだよ。それが
本来の世界の姿なんだよ」という、未来からのメッセージなんです。

--“武器のコマを使ってする戦争ゲームなんて!”と顔をしかめる大人は、
武器が存在している「現在の世界」のイメージに縛られているんでしょうね。

住職:逆に、無意識に未来のイメージがある子供たちは、「戦争は過去の
遺物だ」という、チャトランガのメッセージを素直に受け取ることができる
んです。だから、それこそ「あっ!」という間にチャトランガを理解するん
だと思います。

--子供たちが、あっと言う間にルールを覚えるのは、過去の戦争の
イメージに縛られていないからなんでしょうね。

住職: そもそも第二次大戦中に使っていた武器なんて、何百年か先だっ
たら、単なる過去の遺物に過ぎなくなります。コマをそんな「過去の
遺物」的なイメージで観ているか否かで、チャトランガ観はまったく異なる
んですよ。例えば、戦争が無くなった未来の人が戦車などのコマを見たら
どう感じると思いますか?

-- すでに過去の遺物である、矢などの武器をコマにした、チェスや将棋と
同じように観えるのではないでしょうか?

住職:正解!

--では、コマが萌え系であることは、どう理解したらうなんでしょう?

住職:萌え系と付き合うことは、すぐ近い将来にやって来るロボット時代を
シュミレーションすることなんです。言わば未来社会の予行演習なんですね。
子どもたちは、無意識にこのことを知っていますから、何の問題もないんです。

--なるほど~。

 

子供イコール未来の地球

住職:日本で将棋が盛んになったのは江戸時代です。その頃、軍人である
武士は、すっかり失業していました。開国を武力で迫るアメリカ艦隊が来た
ときは、刀などが錆び付いていて、すぐには役に立たなかったらしいですよ。
戦争なんて、日本人は、何百年もしていなかったし、、、。

--なんか、笑っちゃいますね。

住職:その頃は平和で、コミュニティが発達していたから、みんなそんなに
働かなくても生きていけて、ノンビリ暮らしていたんです。

--へぇー。

住職:「江戸っ子は宵越しの金は持たない」というのは、日給でもらった
お金をその日の内に全部使ってしまっても大丈夫。明日も仕事はあるし、
また、みんなで支え合っているから何とか生きていける、という社会風土
から生まれた言葉だったんですね。

--そうだったんですかぁ。

住職:夕方になると、道端で将棋をやっている人たちを囲んで、みんなで
ワイワイとやっていたらしいですよ。

--わあー、良いですね。

住職:時期的には、それよりかなり前の話ですが、日本に来たヨーロッ
パ人が、「これほど清潔で、かつ子どもが大切に扱われている国はない」
と本国に報告していたそうですね。

--子どもが大切にされている、というのも、平和の象徴なんでしょうね。

住職:自分自身の「内なる子ども性」を大切にすればするほど、「外なる
子ども」も、また大切にするようになるからですね。

--内と外がシンクロするんですね。それもまた、相対の同一性を説く、
大乗仏教の空の哲理なんですね。

住職:子どもは未来の象徴です。だから、内なる子どもを大切にすることは、
未来を大切にすることなんです。人が内なる自分の子どもをどれくらい大切に
しているかは、人が自分や地球の未来を、どれくらい大切にしているかでも
あるんです。

--オースリアのチャトランガー(プレイヤー)であるアリスが、よく「子供の心になっ
たらチャトランガのことがわかるのよ」って言っています。子供の心になっ
てチャトランガをプレイし、内なる子ども性を発揮する。これが自分、ひい
ては地球の未来を大切にすることにつながるんですね。

住職:人がチャトランガをプレイして子ども性を発揮しているのを観ると、
僕なんか、ホッとして何だか心が休まるんですよね。感覚的には、道ばた
で、子どもが大切に扱われている家族を見て、ホッとするのと同じような
感じなんです。
(ブログ「たとえ生きるのが下手でも」http://endo-ryokyu.com/blog/?p=1403

--チャトランガによって、「内なる子ども」の同士でコミュニケートし合う
精神文化がグローバルに生まれるなら、地球の未来を大切にする人たちも
増えるでしょうねぇ、、、。

 

軍事費を人々の幸福費に!

住職:これまでの人類の歴史は、残念ながら戦争の歴史です。コンピュー
ターもそうですが、現代の物質文明を支えるテクノロジーは、武器の発達に
伴って発達したんです。国家も国境も、戦争によって造られて来た。だから、
戦争が人類の歴史を作って来たと言っても、過言ではないんです。

--なるほど。

住職:人類の精神性は、まだまだ未発達です。単に経済レベルで考えたと
しても、世界では現在、毎秒200万円ものお金が軍事費のために使われて
います。もし、これだけのお金を人類のために有効に使うなら、世界から
飢餓や貧困はたちどころになくなります。砂漠を緑化し、世界中の子供たち
に良い教育を与え、福祉を充実させることもできるんです。
(ブログ「世界の軍事費で出来ること」:http://endo-ryokyu.com/blog/?p=1977 )

--そうなったら、世界の風景が変わりますね。

住職:それこそ、戦争と武器が無くなっている未来の地球です。本来お金は、
人を幸せにするために使われるべきものなんです。そして本当の人類史は、
そこから始まるんですよ。

--聞いていると、なんだか、わくわくしてきます!

注:「軍事費を人々の幸福費に!」は、タオサンガが主催する「アースキャラ
バンー広島からエルサレムまでー」のテーマ。
https://docs.google.com/document/d/1fHrpdDP1BSxoFikmpRSZYQxhDYx6vWGwmwqM9smjLxw/edit

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