心の輝きこそが理想の未来を実現する ―チャトランガ篇(12)―

住職に聴く!

和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。
喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?

プロフィール

遠藤 喨及 東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください

 

チャリティクス(Chari-TX)

住職が20代前半から開発して来たミリタリー戦略ゲーム。

先代の任天堂社長には、「ファミコンが出る前だったら、相当ヒットした だろう」と言わせ、また将棋のプロ養成所にいた人を、「極めて奥が深い ゲーム!」とうならせた。

バングラデッシュのいくつかの小学校では、定期的な課外授業としてチャリ ティックスを取り入れることを決定。

現在、ゲームSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)として立ち上げる べく、急ピッチで水面下でのシステム開発が進められている。


 

チャトランガは未来社会の切り札になる

 

--このチャトランガ・シリーズのインタビューで、時おり私が立ち止まって
考えることがあります。それは、果たして人間とは、いったい何なのだろうか?
ということです。

住職:なるほど、、、。

--生きていると、“みんなが幸せであれ”という、本来あるべきプリンシン
プル(原則)が、すんなりと通らないことがままあります。そんなとき私は、
人間世界の複雑な迷路に迷いこんだような気になります。

住職: うーん、、、。

--何だかわけのわからないゲームに放り込まれたような気分になるんです。

住職: はい、わかります。

--もちろん、この世界の奥にある普遍的な秩序を感じることもあるんです。

住職:それはどんな時ですか?

--たとえば「これは本物だ!」と、この世に救いや希望を感じたときです。
また、チャトランガをやっていて、ある局面に「面白い!」と感じたとき
などにも感じます。

住職:へぇー、なるほど! それはそれは。

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コンピューターと人間の闘いで、いかに勝つか?

 

--ところで以前、別の時に、未来における人間とコンピューターとの
チャトランガ対戦のお話が出ました。そのとき住職は、「コンピューターに
人間が勝つには、別の性格になりきる演技者になることだ。異なる人生観や
性格の自分をイメージするという、柔軟性を持つことがカギになる」とおっ
しゃっていましたよね。

住職:はい。

--これは、どういうことでしょうか?

住職:たとえば、チャトランガのコンピューター対人間の試合が、現在将棋で
行なわれている「電脳戦」(注)のようにシリアスなイベントになったとします。

※注:電脳戦/コンピューターと人間棋士との将棋対戦のこと。
http://www.asahi.com/shougi/articles/TKY201304230207.html
(朝日新聞の記事)

チャトランガの場合、コンピューター側のプログラマーは、対戦相手の
人間棋士の過去のゲームパターンをデータに入れた上で、闘いに臨むこと
でしょう。

--へぇー。

住職:そうすると、たとえばコンピューターは、相手の人間棋士が慎重タイプ
かイケイケタイプかなどのデータを入れた上で、手を打って来ることになります。
そこで人間棋士が、過去の自分のパターンを変えた手を打つ、言ってみれば
指し手によって演技すれば、人工知能の“読みをはずす”ことができる
のです。過去のデータにない手を打つことで、コンピューターの思考を混乱
させることができるのです。

--面白いもんですねぇ。

住職:実際、過去の戦場でも、相手の司令官の性格を分析した上で戦略を
立てたんです。たとえば、第二次大戦でシンガポールを攻略した山下奉文中将は、
イギリスのパーシバル中将の気弱な性格を読み取り、戦闘が続いて弾薬が残り
少なくなっても、あたかも無尽蔵にあるかのように装って、攻撃を続けたんです。
その読みは見事に当たって、パーシバル中将は降伏したんです。

--ポーカーゲームでのブラフのように、演技したというわけなんですね。

 

すぐそこまで来ている鉄腕アトムの時代

 

住職:知的な読み合いのゲームにおける、人間とコンピューターの対戦は、
実は人類にとって、とても重要な意味を持っているんですよ。

--えーっ、そうなんですか?

住職:人間がコンピュータと智恵比べができるとしたら、それはゲームしか
ありませんからね。それに、何しろこれからますますコンピューターや
AI (人工知能)が発達して、生活のありとあらゆるところにコンピューター
のコントロールが入ってきます。

--そうなんですか?

住職:例えばグーグルは、人間が運転しない自動車を開発して、すでに試験的に
公道を走っています。やがてそれは、普通の風景になっていくことでしょう。
そして、いつかはロボットが運転するタクシーも出て来るでしょう。

--へぇー。

住職:すぐにはそうならなくても、未来の社会において、コンピューターや
ロボットの、社会に占める働きが急速に増大していくことは、今や確実です。
自動車の運転などはほんの一部で、いずれほとんどのことは、コンピューター
やロボットができるようになるでしょう。

--、、、そうなんですか。

住職:ただそうなって来ると、単にタクシー運転手が失業するというだけでは
収まりません。生活から産業構造まで激変していくと思います。また、さらに
進んで行けば、物理的な面でなく、いろいろな判断をコンピューターに委ねて
いくというようなことも起こると思います。自動車の運転は象徴的なその序曲に
過ぎないのです。

--それはいつ頃のことなんでしょう?

住職:さあ、それはさすがにわからないです。でも、思っているよりは早い
ような気がします。ライト兄弟の初飛行は1903年ですが、その頃は、
「物が空に浮かぶわけはない」と“科学者”に言われていました。そして
そのわずか66年後に、人類は月に降り立ったのです。

※注/「アポロの月面着陸は捏造だ」という説もあるが、
ここではそのことには言及しない。

--「かつてSFで書かれていたことは、7割とか相当大きな割り合いで、
現実化している」と言う話は、何かで読んだことがあります。

住職:すでに量子コンピューターが発売になりましたし、解析率は、日進月歩
どころか秒進分歩で進んで行くことでしょう。今から数年後には、将棋の
名人すら全く勝てなくなることは確実です。そして将来いつかは、将棋の
完全解すら成立することも不可能ではないでしょう。

--時代は私たちが考えているよりも早く進むものなんですね。

住職:人工知能が非常に進む一方、ロボットは限りなく人間に近づいていく
ことでしょう。人間のような皮膚をまとうロボットも生まれると思います。
そうなると、見た目は人間と変わりないロボットが、様々なことを行うように
なるでしょう。

--鉄腕アトムの時代が来るということなんですね。

住職:人類にとって、最も知的レベルの高いゲームは囲碁将棋でしょう。
当然その頃には、人間はあらゆる思考型ゲームで、コンピューターに勝てなく
なっています。そして、そこまでコンピューターの読みが正しければ、(例えば、
将棋の完全解が出るぐらいまで人口頭脳が発達しているような状態では)人類は
多くの判断をコンピューターに委ねていることでしょう。

--ああ、そうなんですね。

 

ロボットの気持ちになる

 

住職:チャトランガのコンピューター対戦をプログラムするためのミーティ
ングを重ねていく中で、はじめて僕は、AI(人工頭脳)がどのようにものを
考えるのか、ということを体験として知ったのです。

--へぇー。

住職:AI(人工頭脳)にチャトランガの定石を憶えさせるためには、イメー
ジというあいまいなものでは、まったく通じないんです。人間相手なら普通に
通じるようなこと、たとえば「相手のコマの少ないところに向かって、複数の
コマを進ませる」なんていう言語ではダメなんです。

--なるほど、、、。

住職:イメージを数値に置き換え、これを言語化しなくてはならないんですが、
僕はそのためには、人工頭脳の“気持”(?)をイメージしなくてはならな
かったんです。

--へぇー、、、。

住職:人工頭脳は、イメージでものを認識できず、数値でしか考えられない。
そんなAIの気持を想像する。人間がイメージで理解していることを、数値に
置き換える。そしてそれを言語化して行くという作業だったんです。

--へぇー。

住職:僕にしてみたら、何だか、ロボットの気持を何とか理解しようしている、
未来の人間になったような不思議な気持でしたね。

--面白いもんですねぇ、、、。

住職:将棋でなく、チャトランガのAI(人工頭脳)をプログラムする作業だから、
こうだったのかも知れません。(注)同じ知的な読み合いのゲームでも、将棋
だとそんなことはないのかも知れません。

※注/将棋の人工知能はプロの棋士に勝ち越すほど発達したが、チャトランガは
開発が始まったばかり。現時点でも、まだ発展途上だが、この時の作業を土台に、
チャトランガの人工頭脳も進化を始めた。

 

“ロボットとどう向き合うか?”が課題となる時代が来る

 

--チャトランガが将棋と異なるのは、どういうところにあるのでしょう?

住職:実人生のシュミレーション体験をしているようなところですね。

--なるほど。

住職:将棋における読みは、「こうなったら、こうなる」と、ある意味では、
因果関係によって未来を予想することでもあるんです。これは、宇宙のすべてが
因果関係によって説明できるとする、ニュートン力学と同じなんですね。

--はい。

住職:ところが、実際の人生はこれとは違います。また、最新の量子力学で
説いている宇宙観にしても違う。宇宙に偶然と必然の別はない。また、最新の
量子論は、ニュートン力学が説いて来た、物理的な因果関係を完全に超えてい
ます。内容的には、ほとんど大乗仏教の哲理と変わりがないほどなんです。

--へぇー!

住職:AI(人工知能)は、因果関係的にしかものごとを考えられない。だから、
人工知能が“悟る”ことも“直感力を持つ”こともありません。また、どれほど
見た目は人間に近づいたとしても、演技はできません。もっとも、“こいつ
演技しているな”、と人間に思わせるような言動ができるようにはなるでしょうが。

--でもそれでは、ウソついているのがバレてしまいますね。(笑)

住職:はい。だから、たとえ人工頭脳が、将棋では絶対的な強さで人間を圧倒
したとしても、チャトランガで直感力を磨いた人間が、手合いの中で演技まで
駆使すれば、相当に発達したコンピューターであっても、十分に渡り合える。
また、勝つことも可能だと思うのです。

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--なるほど、、、。

住職:手前味噌かも知れないし、コンピューターの素人考えで言うのも何
ですが、僕は、将棋の完全解が出る頃と、人類がどこまで人工知能に判断を
委譲するかという問題がクローズアップされる頃が、シンクロするような気が
するんです。

--将棋の完全解が出るということは、人間が創った最高度の知的ゲームが、
すべて解析されてしまった時代ということですから、寂しい気もしますね。

住職:まあでも、そんな時代での救いがありますよ。それは、現在タオサンガ
が展開している、芸術、仏教、指圧など、人間でしかできない分野に対して、
人々はより敬意を払い、人類の文化遺産としてより大切にする時代になるという
ことです。

--それを聞いて、ちょっとホッとしました。

住職:ロボット社会になれば、日常の各種の仕事だけでなく、さまざま判断を
人工知能に頼るようになります。そして将来、人工知能やロボットとどう向き
合って生きるか、を直面することになる。すなわち人類は、自らの課題として、
“人間と人工知能(コンピューター)の違いはどこにあるのか?”について、
真剣に考えなければならなくなるのです。

--そうでしょうね。

住職:人間が、智慧比べでコンピューターと張り合うことができるのはゲーム
でしかありません。しかしその時代には、他のあらゆる思考ゲームはすべて
解析されています。そんな中で、人間がコンピューターに唯一対抗できる思考
ゲームとして、チャトランガが残ると思います。

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--だとしたら、凄いことですね。

住職:チャトランガは、人生シュミレーション・ゲームです。だから、人間と
チャトランガの人工知能の試合は、未来社会おいては人類の存在意義を問うよ
うな、象徴的な意味を持つことになります。僕は人類の未来にとって、チャト
ランガの意義は、決して小さくないと思っています。

-続く-

 

●チャトランガのAI対戦はこちらから
http://lfrogs.com/chari-tx/ai/ai_match.html 
●チャトランガ ルール
http://chari-tx.com/about.html#rule1

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