住職に聞く!第十四回 仏さまの大愛は、あらがうことのできない、あまりの優しさでした

住職に聴く!

和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。
喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?

プロフィール

遠藤 喨及 東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください

 

和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ

喨及(りょうきゅう)さんです。

喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。

一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?


遠藤喨及住職

住職 遠藤 喨及(えんどう りょうきゅう)

プロフィール

18歳の頃、音楽演奏中の神秘体験をきっかけに、念仏三昧の行を始める。 1991年、中央仏教学院専修課程(通信)卒業後の三年後、浄土宗にて伝宗伝戒を 受ける。またこの頃より、世界各地でタオ指圧や念仏ワークショップを行ない、その足跡 が、世界八か国の念仏サンガとなる。2007年、和田寺の住職に就任。音楽家としては、五枚のCDをミディレコードより発表。テレビ、ラジオでオンエアーされている。また、「気心道」(だいわ文庫)など、数冊の著書がある。


 

 


第十四回

 

 

――前回のお話しでは、道場での修業で、ご自分の心を省みて、週に
3、4回、1回2時間の念仏を、一切の救いへの祈願に必死に集中され
続けたということでした。

 

住職:はい。

 

――その後、不思議なことが起こり始めたということでしたが、それは、
念仏中の話ですか?

住職:念仏中も、身体が浮遊して、どこか異界への旅に連れていかれるよ
うな気がしたことがありました。また、過去世で縁のあった魂が降りて来
たようで、たとえようもない懐かしさがこみ上げて来た、というようなこ
ともありました。しかし、念仏中の体験は、一時的なことで、別に取り立
てて言うほどのこともないんです。

 

――そうですか、、、。

住職:それに、そもそも念仏修行中の神秘的な体験を語るのは、タブーと
すべきことなんです。

 

――あ、そうなんですか。

住職:たしかチベットでは、修行中に起きた神秘体験を口にしたら、
坊さんを辞めさせられる、というようなことを聞いたように思います。

 

――へぇー、厳しいですね。

住職:それはやっぱり、今も昔も、神秘的な体験を語ることで教祖づらする、
「困ったちゃん」がいるからでしょうね。

 

――なるほど、ねえ。

住職:法然上人も晩年には、浄土の荘厳を観見するなどの神秘体験があった
んです。それで、三昧発得記というのを書かれています。しかし、これは日記
のようなもので、決して人に見せるつもりではなかったようです。

 

――そうですか。

住職:弁栄上人にしても、相当の神秘体験があったことは、言葉の断片
から伺えます。しかし実際には、ほとんど語られていないですね。

 

――そうですね。

住職:一切認識智を得られていたお釈迦さまもそうです。
“死後の世界はどうなっているか?”という質問にすら、お答えに
ならなかったことがあったと思いますよ。

 

――へぇー、ある意味、極めて徹底されているんですね。

住職:もちろん、天上界や地獄について語られている言葉もあるんです。
しかし、決して霊界を語ることをウリになどしてはいません。

 

――というと、お釈迦さまが説かれたのは?

住職:智慧です。人の心が平安になるための。

 

――うーん、なるほど。

住職:ようするに、常人には見えない世界を語ることで人を引きつけたり、
信者を集めたりするようなことはしないんです。

 

――というと?

住職:考えてみて下さい。人が神秘体験を聞いたり、霊的世界の話
を聴くことで悟れますか?

 

――うーん。でも、人には未知の世界をのぞいてみたい、という関心が
あると思いますが。

住職:はい。それに、人は、物質世界だけに生きていると苦しいのです。
だから、霊界やUFOなどの異界の話を聞くと、何となくホッとするのですね。
その話が、本物か偽物かは別として、人にホッとした感じを与えるのは、
良い点だと思います。
しかし、それが共感性を高めたり、人間性を深めたり、また、より良い
人生を送るための役に立つか? というと疑問が残りますね。

 

――たしかに、それが人生を有意義にすることの、何の役に立つという
のか? とツッコミを入れたくなりますね。

住職:少し智慧があれば、人を導くのに霊界話をウリにすることは、
かえってマイナスであるとわかるはずです。

 

――日常の苦しさを忘れるために、霊界話にはまってしまうと、教祖づら
した人に、コロッとだまされてしまうかもしれませんね。(笑)

住職:例えば、スエーデンボルグという神秘家は、天上界や地獄界など
を旅するという、特殊な能力を持っていました。彼は、霊界体験の本を
何冊も出版しているんです。しかし、あくまでも匿名で、です。実名で
は出していないんですよ。本物の人は、逆にこうかも知れませんね。

 

――スエーデンボルグといえば、ヘレンケラーが信奉していた人ですね。

住職:はい。日本に紹介したのは、禅を世界に広めた、鈴木大拙博士でした。

 

――ところで禅も、徹底して日常に帰って来る教えですね。

住職:はい。十牛図で表現されている悟りの最終段階も、むしろ日常に
帰って来るんです。
※注/十牛図とは、牛を飼いならす十枚の絵によって、悟りの段階を
表したもの。

 

――地に足がついた教えでないと、不自然ですものね。

住職:だから、私が言った不思議な体験というのは、念仏中の神
秘体験ではなく、日常生活で起こったことなんです。

 

――というと。

住職: 何よりも、身体感覚なんです。
まず最初は、ジンジンと痺れるような感覚から始まりまして、、、。

 

――はい。

住職:ところで、いきなりの話ですが、宇宙大霊の融合を受けると、この
ようなジンジンと痺れるような身体感覚が生じるんです。これは誰にで
も生じる、普遍的現象なんですよ。

 

――あっ、そうなんですか。

住職:これは、念仏会に参加される方なら誰にでも、気のテクニックで
体験してもらうことができるんです。

 

――そういえば、私も体験しました。

住職:皆さんが体験することが可能なことだから、言ってしまっても
バチは当たらないだろうと思って、こうしてお話ししているんですが。

 

――ええ。

住職:話を戻すと、ある日、気がついたんです。“何だか最近、身体が
ジンジンして気持良いなあー”と。

 

――へぇー。

住職:でも、なぜだかはわかりません。それと、ジンジン気持良いだけ
でなく、何だか妙に温かいんですね。

 

――そうですか。

住職:それに、何だか、やけに温かい目で見守られているような気もするんです。
それで一瞬、“「被視妄想」にでもなったかなあ”と、思いかけたんですが、、、。

 

――、、、、?

住職:阿弥陀さまのイメージ像が、心に映っていることに気づいたんです。
そして、自分が感じている、誰かに見守られているような温かさは、
どうやら心に映って見えている仏さまから発しているものらしい。

――ちょっと待って下さい。ここで整理します。まず、ジンジンと快い身体感
覚。誰かに、温かく見守られているという感覚。さらには、阿弥陀さまが心に映っ
て見えているという、この三つの状態が生じたのですね。

住職:はい。しかもその阿弥陀さまは、単にイメージではなく、
生きた実在として感じられるんですよ。

 

――へぇー。

住職:また、阿弥陀さまから感じる、強いエネルギーに圧倒されてしまいまして、、、。
その温かさは、まさに大愛と呼ぶしかないようなもので。いつしか私は、
身も心もとろけてしまったんです。

 

――何だか、気持ち良さそうですね。

住職:仏さまの大愛は、あらがうことのできない、あまりの優しさでした。
そして、自分が永い間背負って来た重いものは、まるで、どさっと音を立てて、
身も心も脱け落ちたかのように感じました。さらに、喜びも悲しみも、ただ大愛
に融けて温かいんです。
――いいですねー。

住職:そのとき、“ああ、如来さまは、本当に実在していたんだ。”と思いま
した。そして”自分のまるごと全部を摂め取ってくれた”と感じました。
私は大愛の圧倒的な優しさ温かさに、身も心も浸って、ありがたくてなりませ
んでした。

――はい。

住職:そしてその時、“あぁ自分は、やっと魂のふる里に戻ることができた。
とうとう、本当の心の家に帰って来たんだ”と思いました。
私は、生まれて初めて、“ホッ”と安堵のため息をつくことができた
んです。

 

――お話を聞いているだけでも、安らぎを感じます。
日常生活がそのような安心感に満たされると、人生変わりますね。

住職:それは、圧倒的な体感でした。心の中からは、例えようもない
喜びが沸き上がっていました。

 

―続く―

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