希望の火、インド巡礼(3)
ーー 実際にダライ・ラマ法王にお会い
できる可能性がでてきて、
出発二日前に記者会見して、、
そして、超スピードで諸々の準備をされ、、
前回は、ここまで伺いました。
いよいよ、インド上陸となったんですね?
すぐに、ブッダガヤに向かったのですか?
<昔のブッダガヤ1985年頃(大塔)>
住職: そうです。
まずは夜遅くデリーに着いて、
翌日にはブッダガヤに入りました。
ーー ブッダガヤと言えば、
お釈迦さまが悟りを開かれたところ
ですね、住職にとっては久しぶりの
ブッダガヤではなかったですか?
住職: そうですね。
ブッダガヤには大昔に3回行っている
んですが、あまりの変わりようには超絶、
びっくりしました。
ーー どのようなところが?
<何もなかったブッダガヤ> ↑ その頃の住職
住職: 元々、ブッダガヤなんてど田舎で、
交通機関なんてロクになかったんですよ。
それが今や空港まであって、
タクシーまであって……なんか……..
もうあり得ん! と言う感じですね。
まるで、タイムスリップして別の世界に
行ったかのようでした。
<ブッダガヤの空港>
ーー へー!!
そんなに変わっていたんですね。
住職: 食事するところなんて、
1食、100円もしないような街の
定食屋が数件だった。
良いホテルは一つあるだけで、
僕なんかはビルマのお寺に50円ぐらいで
泊めてもらったりしていました。
2回目からは、1泊数百円の安い
ゲストハウスに泊まりましたけど。
<釈尊が悟りを開いた菩提樹の横(1985年)>
ーー 今では、観光地として、
訪れる人が多いからなんでしょうね。
住職: 今やもう、ホテルは乱立している。
店もわんさかある。
その上、車は渋滞している。
ど田舎でのんびりしていた何もない
ところが、街になっていたので、
ビックリです。
ーー そりゃ、びっくりでしょうね!
住職: 一番、驚いたのは、お釈迦さまが
悟りを開かれた「菩提樹」ですね。
人もあまりいなかった。
犬が寝そべっているぐらいの、
のんびりしたところだったんです。
それが、”ここは遊園地か!”と思うほどに
なっていたのには、超絶驚きました。
<今では、こんな風に!>
ーー 昔のほうが、
いい感じだったんでしょうね。
住職: まあ、そんな変わり果てた
ブッダガヤでしたが、着いた翌日には、
テンジンさんと会って打ち合わせしました。
<右がテンジンさん>
ーー テンジンさんは、
どのような方ですか?
住職: チベット亡命政権の文化省の人で、
ミュージアムを任されているようでした。
東京のダライ・ラマ事務所の采配で、
アースキャラバン一行のお世話係の
担当になってくれた方です。
ーー 東京のダライ・ラマ事務所が?
それは助かりますね。
住職: 本当にもう感謝しかありません。
テンジンさん曰く、
”まだダライ・ラマ法王謁見の確定はもら
っていません。でも、これから毎日、
チベット仏教各派のトップである、
リンポチェ猊下の方々に、2人ずつ面会
していきましょう”と言ってくれました。
ーー その時点では、
まだ、確定ではなかったんですね。
住職: まあ天皇に会うまでに、
各本山の猊下からという感じですかね。
チベット仏教各宗派の最高指導者の方々
です。
ーー それはそれですごいことですね。
住職: その日から「希望の火」をもって、
各猊下を訪ねて巡りました。
<リンポチェ猊下の方々>
住職: そんな中、3日間の法話会が
始まったんです。
そして、1日目が終わったとき、
テンジンさんが緊張した面持ちで、
「どうやら明日には謁見できそうだ」
と……。
そして、チベットテレビの取材なんかも
受けたりましたので、
ああ、きっと本当なんだろうな、
と思いました。
<チベットテレビの取材を受ける>
<チベットテレビのキャスター>
ーー えっ、
テレビ取材まで受けたんですね!
どんな取材だったんですか?
住職: ”これが噂の希望の火ですか?
この活動を始めた動機は何だったんです
か?”とか、そんなことを聞かれました。
ーー すでにテレビ局にまで、
知られていたんですね。
住職: はい。
それで、もしかしたら本当に会えるかも
なぁ…..と。
ーー 期待が高まったでしょうね。
住職: ただ、何があるか分からないのが
人生なんで(笑)。
それで、どんな状況にも対応できるような
心でいました。
ーー なるほど。
住職: 当日の翌朝早く、
会場に向かいました。
何せ、聴衆が6万5千人もいる
ダライ・ラマの法話会なので、
入り口も野球場みたいにたくさん
ありました。
ーー すごいですね。
住職: 僕らには、ダライ・ラマ法王の
すぐ後ろの席が用意されていました。
現地の特別秘書の人からは、
とにかく言われた通りに動けば良い、
と言うことでした。
それで僕らは、読経の声が会場に
鳴り響く中、落ち着いて座っていました。
ーー どんな空気感だったんでしょう?
住職: 会場はそれなりに張って
いましたが、バチカンの時よりは、
まだ柔らかかったですね。
ーー そうなんですね。
住職: しばらく続いた僧侶たちの
読経が終わり、静けさが訪れたと
思っていたら、カートに乗った
ダライ・ラマ法王が登場しました。
従者に抱えられたダライ・ラマ法王が
壇上に上がり席に座ると、
会場は特別な空気感に包まれました。
ーー 、、、。
住職: そして、あらかじめ決まっていた、
特別に許された様々な人々が、順番に
壇上に上がり、ダライ・ラマ法王から
祝福を受けていました。
そして法話が始まる直前になって、
僕らが呼ばれました。
ーー なんだか、聞いててもどきどきしますね!
住職: 僕らは言われたままに、
「希望の火」を持ってステージに
上がりました。
そして、ダライ・ラマのいる壇上にまで
上がりました。
僕は、グループの先頭で「希望の火」が
ついたランタンを持っていました。
それで、そのままダライ・ラマの目の前に
進みました。
ーー ダライ・ラマは、どんな様子でしたか?
住職: 近づくにつれて驚いたのは、
ダライ・ラマのお顔が、
僕らアースキャラバンへの好意に
溢れていたことですね。
まるで、”よくぞ、この火を持って来て
くれた”と、感謝してくれているかのよう
でした。
僕は「希望の火」をダライ・ラマの
机の上に置き、そして、テレビカメラが
良く撮影できるように、
ランタンの位置を整えました。
そしてちょっとためらったのですが、
”ローマ教皇とも握手したから、
まあいいか”と思って、
ダライ・ラマに手を差し出して、
握手しました。
ーー どうしてためらったのですか?
住職: 初めて会ったお坊さんに握手する
ことって、日本ではまずないでしょう?
これまで何人か会った日本の市長とも、
握手したことなんかないし。
ーー それもそうですね。
どんな感触でしたか?
住職: 形式的なものではなく、
心がこもっていたこと、
また、手が温かったのも、
ちょっとした驚きでした。
そして、グループ全員が順番に謁見した後、
壇上を降りようとしたら、テンジンさんに
「まだです」と停められました。
僕たちアースキャラバンと
ダライ・ラマ法王との特別記念撮影が
あったのです。
祝福を受けに壇上に登った人で記念撮影を
した人はいませんでした。
どうやら、ダライ・ラマ法王との記念撮影
は、僕らアースキャラバンだけだったよう
です。
<後方上にダライ・ラマ法王、手前がアースキャラバン一行の記念撮影>
住職: その後、始まった法話で
ダライ・ラマ法王は、冒頭で希望の火の
ことを話されました。
ダライ・ラマ法王:
私は、広島の火が入った火を授かりました。
広島は、初めて原子爆弾が投下された地であり、非常に多くの人々が亡くなられた場所です。 私は、そのような人々について考え、ひどく悲しい気持ちになりました。 今日、釈尊が悟りを開かれたこの金剛座がある聖地で、「希望の火」と世界の永続的な平和を祈る機会を得たのです。 皆さん、共に祈りましょう。 |
ーー そうしてダライ・ラマのお声がけで、
6万5千人の方々が希望の火に
祈りを込められたんですね。
住職: 法話の途中、侍者の方が、
壇上の机の上に置いてあった
「希望の火」を下げたんです。
少しして、それに気づいた
ダライ・ラマが、
”あの火はどこに行ったんだね?
あの火をここに戻しなさい”
なんていうこともありました。
ーー 何とも、ダライ・ラマの
お気持が顕われているエピソードですね。
私もネットで日本から、ずっと壇上の机に
置かれている、「希望の火」がともされた
ランタンを拝見しました。
ずっと置かれているので、
なにか特別な印象を受けました。
住職: その後も僕らは、
チベット仏教各派の高僧や、
チベット亡命政権大統領などとの面談を
続けました。
「希望の火」を持って歩いていると、
火のついたランタンを拝んで行かれる方が
たくさんいらして、それも驚きでした。
ーー バチカンのローマ教皇・
ブッダガヤのダライ・ラマ法王という、
キリスト教と仏教、それぞれの象徴
みたいな場所と2人に会われ、
しかも両方と握手した人なんて、
なかなかいないと思うのですが、
今どんなことを思われていますか?
住職: 人類が利他の祈りで融合する、
という「希望の火」の使命がはっきりした
感じですね。
インタビュー後記
壇上の机の上に置かれた「希望の火」の
ランタンとダライ・ラマの映像は、
まるで魔法のショーを見ているような
感じがしました。
その時のダライ・ラマの穏やかな表情と、
ランタンから放たれる暖かな光が、
人々に希望と勇気を与えてくれているか
のように感じたんです。
利他の祈りが象徴されたこの映像は、
人類にとって非常に重要なメッセージを
伝えているようにも思いました。
そして、インド巡礼の旅はまだまだ続きます。
「希望の火」は、私たちをどんな場所へと
導いてくれるのでしょうか。
今から楽しみで仕方ありません!