住職に聴く!インド巡礼(9)

ーー 前回は、住職に、

インドと日本の歴史的な関わり、

特に、パール判事のお話や、

『戦争』はなぜ起こるのか?ということ、

『歴史』の欺瞞について、、

たくさんのお話をうかがいました。

 

インタビューの最後の、

「日本が戦争で失ったのは国土ではない。

日本が失った最大のものは真実である。」

という言葉も、戦後の日本、

私たちひとりひとりにグサッと

刺さるものだと感じました。

 

その失った真実を取り戻したい、、

とも思いました。

 

住職 : 真実を取り戻すには、

一人一人が、これから真実の歴史を

探求して行くしかないでしょうね。

 

ーー ところで、インドの巡礼は、

その後どうなったのでしょうか?

 

住職 : 今回のインドでは、

コルカタがゴールだったのですが、

ほぼ最後の日まで、支援すべき学校などを

巡っていましたね。

 

ーー どんな学校ですか?

 

住職: 例えば、赤線地帯の子供たちの

ための学童保育とか……

 

ーー というと?

 

住職: お母さんは、性的サービスの

労働者なんですね。

 

だから、親が仕事中に、

子供が家にいるわけにはいかない。

そのために子どもたちを世話している

NGOがあるんです。

 

ーー なるほど……..

 

住職: 何せ、アリス司令官もいるので、

皆さん、最後まですごい働きでしたね。

 

僕なんかもう最後は、電池切れで

この日なんか、休んでしまいましたよ。


学童保育の施設。スマートフォンを操作しているのがアリス。

 

ーー それで、全ての行程が

終了したわけですね。

 

住職: 最後の日まで何やかや、やりながらね。

 

でも、インドの旅は、終わってからが

始まりだったんですよ。

 

ーー えー? どういうことですか?

 

住職: 帰国後、ナグプールで会った

インドの仏教徒、アミットさんからの

猛烈なアプローチがあったんです。

 

それで…..

 

ーー どんなアプローチですか?

 

住職: 「もう僕は、離れ難い希望の火の

メンバーだ。」とか、

「ぜひ学びたい」とかのメッセージが、

もう毎日のように届きまして…….

 


アミットさん(中央)と「希望の火」インド巡礼メンバー

 

ーー すごい情熱ですね。

 

住職: はい、それで思ったんです。

 

アミットさんが住むナグプールに、

希望の火を常灯できないものか、

と…..。

 

何せ、ナグプールは、

毎年、数十万人が仏教徒に改宗する、

言わばインド仏教徒の聖地ですし……、

 

ーー あの佐々井上人(インド巡礼6

のいらっしゃるナグプールに?

 

住職: 5月になってから、

アミットさんが腰痛で動けなくなる

という事態になったのです。

 

僕は、「走れメロス」の気分になって、

またインドに行ったんですね。

 

アミツトさんの腰痛治療と、

希望の火をインドのナグプールに常灯する、

というミッションを立てて。

 


*メロス・・・友情のために走り抜いた男性を描いた、太宰治の短編小説。

 

ーー えっ? またインドに?

 

住職: はい。

 

ーー それで、どうされたのですか?

 

住職: ブログに書いたんですが、

いくつかの寺や個人の住宅で、

法話やワークショップやったり、

アミットさんが連れて来た色々な人の

治療をしたりしていました。

 

人類は宗教を超えられるか?(インド・ミッション後半戦)

果たしてインドで、二千年ぶりの大乗仏教革命は起こるのか?

この夜、無数の聖なる存在によって、人々の痛みは癒されていった 

僕は、神妙な空気をぶち破ろうとジョークをぶちかました!

インドについた「希望の火」の種火は、果たしてどうなるか?

 

ーー そう言えば、佐々井上人が

日本全国を行脚した時、個人面談の会場が

京都のタオサンガ道場でしたね。

 

インドとの関わりが、

さらに大きくなって行ったんですね。

 


佐々井上人at 京都タオサンガ道場

 

住職: 希望の火を常灯するのは、

佐々井上人のお寺か、改宗会場が

良いのではないかと思いました。

 

その他、アミットさんが運営する、

貧しい子供たちの寄宿に常灯する、

というアイデアもありますが。

 

ーー なるほど。

 

住職 :  毎年の改宗式では、

その火で会場の「灯明」を灯せば、と。

 

ーー それが実現したら、

素晴らしいですね! 

 


仏教徒改宗式が行われているナグプール

 

住職: そうこうする内に帰国後、

東京のダライ・ラマ事務所の

アリヤ代表から、

「12月にインドのブッダガヤで、

ダライ・ラマ法王が世界各地の

僧侶2000人を集めて行う

『仏教サンガフォーラム』があるから、

スピーチしませんか?」とお誘いを

受けたんです。

 

ーー えっ? つい最近ですね。

では、またインドに?

 

住職: でもまあ、

「僕はアカデミックなタイプでもないし、

そんなエライお坊さんたちの集まりに

行くなんて気づまりだしなぁ….。」

と思って、スルーしてたんですよ。

 

ーー あ、、、

何だか、らしいですね。

 

住職: ところが、です。

 

その話をアリスにチラッと

言ってしまったんですよ。

 

そうしたら例の

「RYOKYUさんは当然、行くわよね〜」

の空気感満載になってしまいまして……..

 

「希望の火が世界中のお坊さんたちと

繋がる最高のチャンスね!」という

アリスのニコニコ顔が、まるで電話口から

溢れているようでした……。.

 

ーー あはは! 

 

住職: で、

「あれよあれよ、という間に」というか、

うぅ…とまるでヘビに睨まれた

カエルのように、

インドでスピーチすることが

決まってしまったのです。

 

ーー ふふふ。

いつものパターンですね。

 

住職: 覚悟を決めたのは

台湾から帰国してからです。

 

それで、僕がダライ・ラマ東京事務所の

アリヤ代表に伝えたんです。

 

「どうせするなら、誰も知らないことを

皆さんにシェアしたい。仏教の修行や

世界への祈りが、どれほど人の身体に

変化をもたらすのかを、実演で見せたい」

と……。

 

ーー すごいこと考えられますね。

 

住職: それだったら、

今までずっと海外でやって来たことでも

あるので、

「まあ、それぐらいなら、

自分にもできるのではないかな」

と……。

 

ーー いやー、でもそれって、

すごいことではないですか。

 


「サンガフォーラム」のポスター

 

 

住職: いざ、やることになったら、

もう大変ですよ。

 

 

スピーチ原稿を用意して、

英語がちゃんと伝わるように

練習する毎日です。

 

 もう、結婚式のスピーチ頼まれたって

緊張するのに。

 

ーー え〜、

そうなんですか! 

 

住職: その上、第6セッション4人の

パネルディスカッションの司会まで

仰せつかってしまいまして.,…..

 

ーー へぇ!!

 

住職: 先のアリヤ代表の話では、

「登壇する人を紹介してくれたら

良いから」みたいな話でした。

 

それで、これもまた

「まあそれぐらいなら、

僕でも何とかなるかな」と。

 

ーー 住職は、そんな、

ほのぼのしたスタンスで、

今回のことに臨まれているんですね〜

 

住職: どうせなら面白く登壇者を

紹介したいので、

事前にインタビューして、

「好きな食べ物は?」とか、

「坊さんになっていなかったら、

何になっていましたか?」とか、

どうでも良いことを聞き出して、

楽しい感じで紹介しようかな、

と思ってたんですけどね。

 

お坊さん相手だから、

「好みの女性は?」は、さすがに聞けないけど。

 

ーー ははは。アカデミックな場で

バラエティーっぽい司会なんて、

さぞ、驚かれることでしょうね。

 

住職: ところがです! 

僕の目論見は見事に外れてしまったの

です。

 

というのは、現地の事務局長に、

「議長は、登壇者がスピーチを終えたら、

その概要を話して下さい。

 

その後、皆さんのディスカッションを

促してくださいね」なんて言われて

しまったのです。

 

ーー 結構、大変そうですね。

 

住職: 単なる司会だと思っていたら、

まさかの議長……。

 

もう、「ぎょえ〜!」ですよ。

”おいアリス、代わってくれい!”と、

思わず天を仰ぎましたね。

 

ーー ははは……って、

ご本人にしてみたら、

笑ってる場合じゃないんでしょうけど。

 

住職: マジな話をすると、

登壇するタイやチベットなどの

お坊さんたちは、日本の仏教用語なんか

で話してくれません。

 

当然、パーリ語やサンスクリット語です。

(…..涙)

 

ーー なるほど……..

 

住職: ずっと後になってから

ホームページ見たら、参加者に対して

「どちらの言語をお使いですか?」

という記入項目がありました。

 

何とそれが、

パーリ語かサンスクリット語を

選ぶんですよ。

 

ーー それは、緊張が高まりますね。

 

住職: 「アリヤ代表、そんなこと

言ってなかったぞ。こっちはどっちも

分からんもんね」と呟いてから

頭が空白になり、気絶しました。

 

ーー ”ははは”って、

また笑っちゃいけないんでしょうけど。

 

住職: せめて、あらかじめ

スピーチ原稿をもらって勉強して

おこうかと思ってお願いはしたものの、

果たして届くのはいつになるやら……..

 

せめて、パーリ語やサンスクリット語の

辞書を買って行こうかとは思っていますが。

 

ーーー ”ほのぼのスタンス”とはいえ、

準備のためには大変な努力が

必要なんですね。

 

住職: 先日やっと、

自分のスピーチ原稿をアリヤ代表に

送りました。

 

「僕を推薦したことを後悔されたくない

から、原稿チェックしてね」と添えて。

 

ーー 住職はアリヤ代表に

信頼されているんでしょうね。

 

 


(中央がアリヤ代表)

 

住職: 僕みたいなのって、

お気楽そうで頼みやすいのかも

知れません。

 

まあ僕にしても、アリヤ代表は、

「ダライ・ラマ法王に謁見して

希望の火に祈りを込めてもらう」

というシチュエーションを

実現するために尽力してくれた人です。

 

僕は、大いに恩義を感じているんですよ。

 

だから、「何でもやるから言ってね」

という感じでお目にかかっています。

 

今回も、その延長ですね。

 

ーー どうやらアリヤ代表と住職は、

お互いお友だち感覚みたいですね。

 

住職: とは言え、

ダライ・ラマ事務所は、

チベット法王庁の大使館のようなもの

です。

 

そして、大使は一国を代表する人です。

 

だから僕はアリヤ代表を、

あたかもチベット国そのものとして、

丁重に接しているところもあるんです。

 

ーー お友だち的な気持ちと、

チベット国そのものとして丁重に

接するという、両面があるんですね。

 

住職: 今年3回目のインドも、

何だか『走れメロス』的です。

 

降って湧いたような大役ですけど、

「もうこうなったら、身を捨てて、

ユーモアで乗り切るしかない!」という感じですね。

 

ーーー ははは。

やっぱり、ほのぼのですね。

 

インタビュー後記

住職がインド巡礼を終えて帰国してから、

5月にはまたインドに行かれ、

さらに12月に(今月!)には、

世界各地から僧侶2000人が集まる

ブッダガヤでスピーチをするという、

その大きな展開には驚きました。

 

住職が、チベットのために署名活動を

されていたことを聞いたことがあります。

 

「チベット問題」は、中国への忖度から、

自分に火の粉がかからないように避ける

人が多い中で、住職の誠実な態度は

一貫している、と感じていました。

 

そういう住職の温かく律儀なところが、

ダライ・ラマ法王東京事務所のアリヤ代表の

琴線にふれたのではないか、、

と想像しています。

 

そしてこれは、「住職がチベットを

応援し、アリヤ代表が希望の火を

応援する」という、友情物語では

ないか、と思いました。


来年、またインタビューで

住職のお話を聞くのが楽しみです!!

 

<追記>​​
9月にチベットのTVニュースで、住職と「希望の火」が紹介された映像は、こちら→

(7:29ぐらいから)