住職に聴く!2019年12月号

 

和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。
喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?

遠藤喨及 東京生まれ。少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職の他、タオ指圧/気心道創始者、作曲&演奏家、海外支援や平和活動を行うNPOアースキャラバン代表、ゲームCHATRANGA考案者等、多才な活動で知られている。
90年の初頭から現在に至るまで、北米各地、ヨーロッパ各地、中東(イスラエル、パレスチナ)、オセアニアなど世界各地でタオ指圧、気心道、また仏教ワークショップを行っている。
またその足跡によって、世界10カ所にタオサンガが生まれ、各センターで、タオ指圧の施術と指導や念佛修行、海外支援活動などが行われている。

遠藤喨及個人ページ http://endo-ryokyu.com/

 

「希望の火」が、ローマ教皇のミサで灯される瞬間。2019年11月25日 東京ドームにて

 

「希望の火」が
ローマ教皇の東京ドームミサで灯されるまで

東京ドームミサに「希望の火」を届ける 映像

 

ーー 今年の6月のインタビューで、

「希望の火」プロジェクトについて

うかがったときに、宗教者だけでなく人類が

協力しあってつくるという壮大な

試みに感動しました。

 

住職: そうですか。感動して下さって、

ありがとうございます。

 

ーー その時点では、

3月にローマ法王に謁見し「原爆の残り火」

吹き消していただくことが実現していました。


2019年3月20日、バチカンにて、
「原爆の残り火」を吹き消していただいた瞬間

 

住職: そうですね。

 

ーー その後は、過去の悲惨さの象徴である

原爆の残り火を、人類共通の平和の祈りを

込めた「希望の火」に変容させる、と。

そのために宗教施設などを自転車で巡り、

様々な祈りを込めた火を、

東京で行われるローマ教皇のミサで

灯していただく、、ということ

をお話いただきました。

 

住職: はい。

 

ーー 9月~11月、この「希望の火」の

ことがいろいろなメディアにも掲載され、

ついに東京のローマ教皇のミサでも

灯されたことを拝見しました。

 

住職: はい

 


ローマ教皇の長崎のミサでも灯された「希望の火」
2019年11月24日

 

ーー 次々に話されたことが実現していく

ので驚くと同時に、話を聞いたときにすでに

「そうなる」ということを、何となく感じて

いた気がしています。

 

住職: そうですか?

こっちは途中、何度もめげそうになって

いましたけどー。(笑)

 

ーー そうなんですか?

 

住職: 途中、このままでは、

誰がどうみても実現が不可能だと

思うようなことが、いろいろと起こるわけ

です。

 

ーー あっ、そうなんですか?

 どんな困難があったのですか?

 

住職: あまり公にできないので、

具体的には申し上げられないのですが、

特に、最終ゴールの東京ミサに関しては、

途中、弱気になって、何度か一瞬、

諦めかけました。

 

ーー 住職でも?

 

住職: はい。

数十秒から数分、ちょっと絶望して

うずくまるんです。

でも、その後

“待て! 勝負はここからだ!” と、

ふいに頭を上げるんですね。

 

ーー そうなんですかー!

 

住職: 最後の方には、

ただひたすら実現に向かってがむしゃらに

動いているだけでした。

僕の中で もはや“結果は、二の次” になって

いましたね。

 

ーー 結果は、二の次だったんですか!

 

住職: チームみんなが、

次は何をするかを考え、ただやれることを

すべて恥も外聞もなく、ひたすらやるだけでしたね。

バチカンの異宗教者会議で会った人に、

ヨーロッパまで電話しました。

在東京バチカン大使館に面会を

申し入れたり、

外務省の人につないでもらうため、

県会議員に相談したり、、、。

1日中、みんなでそんなことを

やり続けていました。

原爆の残り火をはじめてヨーロッパまで

運んだ時もそうでしたが、思いつく限り、

ありとあらゆることをやり続けました。

 

ーー すごいですね、、、。

それで結果が出たわけですが、住職は、

いまどのように感じていらっしゃいますか?

 

住職: ものごとが実現するには、

何事も当然、困難がつきまといます。

そしてものごとは、

自分1人では決して実現しません。

実現には必ず、これを支える他の人を

必要とします。

 

ーー はい。

 

住職: 「希望の火」をローマ教皇の東京ミサで

灯す、という今回のミッションは、

誰1人が欠けても実現しなかったことです。

そういう意味では本当に良いチームメイトに

恵まれた、としみじみ思って感謝して

います。

途中、ミッションを放棄する人も

いませんでした。

最後までみんなが責任を持って、

それぞれの持ち場で全力を尽くしたと

思います。

 

 

ーー 戦場で共に闘う部隊みたいなもの

だったんですね、、、。

 

住職: 戦況がどんなに大変になっても、誰も逃亡兵にならず(笑)、

信頼し合える”戦友”として共に戦っていました。

「希望の火」プロジェクトは、一方では新しい人類史を始める、

ぐらいの気持ちがありました。

でも、同時に僕にとっては、困難を克服

していくゲームでもあったんです。

 

ーー ある面、ゲームとして

やっていたのですか!?

そういえば、

「人生とは困難を克服していく過程を

楽しむゲームである」という住職の言葉が

ありましたね。

 

住職: 結果を出すためにやっていたら、

今回のミッションほど苦しいものはなかったです。

でも、困難を克服していくゲームだと思う

ことで、苦しみの中にも楽しさが

ありました。

とある新聞の記者さんに

「困難なことが起きるのを、これほど楽しんでいる人に

はじめて会いました」と言われました。

(笑)

 

ーー へぇー!

 

住職: 今回のゲーム(ミッション)を

通して智慧が磨かれたし、自分自身も

含めて、皆が成長できたと思います。

僕は、ローマ教皇のミサで「希望の火」が

灯ったという結果よりも、

あれほどの困難にも負けず、みんなで

必死に頑張ったことに価値があるし、

そこにこそ「希望の火」の価値があると

思いました。

 

ーー そうなんですか!

 

住職: 「希望の火」が尊いのは、

宗教などの垣根を超えて人々が祈りを

込める火だからです。

しかし僕自身はむしろ、「希望の火」を

創っていく過程で人々が共に捧げる、

無私の行動にある、と思っています。

2019年11月25日、東京ドームで
「希望の火」を採火後にカトリック神父修行者たちと記念撮影。

 

〇2019年6月号住職に聴く!『人類初の試み、「希望の火」プロジェクト』

住職に聴く!アースキャラバン2019 人類初の試み、「希望の火」プロジェクト

〇「希望の火」HP
https://flameofhope.jp/

インタビュー後記

写真に映るチームのみなさんの

ほんとうに清々しいお顔!は、

インタビューのなかでも触れられている、

困難を克服したからこその輝きに

感じられます。

「人生とは困難を克服していく過程を

楽しむゲームである」ということを

貫くのは、、、

つまり、恥も外聞もなくなんでもする

というのは、実は楽しいんだよと、

住職はおっしゃっているのだろうと思います。

そこには、やはり相当に強い気持ちが

感じられます。

「「希望の火」プロジェクトは、

一方では新しい人類史を始める、

ぐらいの気持ちがありました。」

と話されたように。

「希望の火」の巡礼が、

世界を変えていく予感、

静かな足音が聞こえてくるようです。

来年も住職のお話を聞くのが楽しみです。

\(^o^)/