和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。
喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?
遠藤 喨及
東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください。 http://endo-ryokyu.com/blog/
--最近の住職の法話ライブなどで、未来をどう創造するか? 願いはどうやって叶えるのか、などのお話を連続的にお聞きしています。さて、今回のアースキャラバンは、中東でフィナーレを迎えたそうですが、いかがでしたか?また、今後のキャラバンの展望などがあれば、聴かせていただけますか?
住職:今年は広島、京都、東京そしてヨーロッパを経て、フィナーレが中東でした。来年は、長崎や浜松が加わるのではないかと思います。海外は、北アメリカが加わります。ヨーロッパは未定ですが、中東エルサレムにはもちろん行くことになりますね。
--さらに広がっていくんですね!
住職:今年、僕が実行委員会の立ち上げを担当したのは、広島と中東でした。幸い広島では、実行委員になって下さる素晴らしい方々と巡り会うことができました。また東京でも、パレスチナ関連から実行委員になって下さった素晴らしい方とつながることができました。今後はいかに向上的に継続していくかが課題ですね。
--それは良かったです!
住職:中東でも、今年素晴らしい出逢いがありました。まずサミー。ワールドビジョンなどに呼ばれて、アメリカでも講演している人です。ホリー・ランド・トラストという人権NGOのリーダーでもあります。その団体が、毎年ベツレヘムの街を上げての大きな5日間のフェスティバルを開催しています。今年アースキャラバンは、そこの1部にも入って活動しました。
--それはすごい!中東でも貴重な出会いがあったんですね。
住職:ベツレヘムでは、フェスが開催されているメインストリートの店舗を、アースキャラバンの為に使わせてもらいました。そこではキャラバン・メンバーたちが、チャリティー指圧を行い、路上の机では、子供達に折り鶴を教えたんです。
--そのイベントで、アースキャラバンが出店したんですね! いかがでしたか?
住職:フェスのある夜だけやっていたのですが、連日、大盛況でしたね。
結果、300ドルのお金が集まりました。これはガザの子供達のためのチャリティーだったので、その300ドルにNPOアースキャラバンから1200ドルを足し、合計1500ドルをガザの支援団体に送りました。
--どのように送られたのですか?
住職:実は、ガザに直接持って行こうと画策していたんですが、どうしても無理でした。それで、今回タイアップした、東エルサレムのサビールというキリスト教系パレスチナの団体を通じて、送金してもらいました。
--そうだっんですか。ガザの子どもたちのために役立てられて、嬉しいですね!
住職:アースキャラバンによる海外支援は、ガザの他にもルワンダ(1000ユーロ)、ネパール(10万円)、シリア(500ユーロ)にも行われます。本当に各地のアースキャラバンの実行委員やボランティアの方々のお陰と感謝してます。
--素晴らしいですね。ところでベツレヘムの祭りの話に戻りますが、パレスチナの街のフェスって、どんなものなのでしょう?
住職:まずは、とにかくすごく大きな本格的なフェスだなぁ、というのが印象でした。制服を着た鼓笛隊みたいなのが街に出たり、派手なパレードもありましたね。子供達が、反核や自然環境の保護を訴えるプラカードを持っていたりもあったし。かと思うと、ピエロみたいな格好でコスプレやっていたり。そういえば、鼻だけピエロの人もたくさんいましたね。
--へー!パレスチナの人たちも、そういうお祭りが好きなんですね。
住職:みんな陽気ですしね。ステージも本格的でした。アースキャラバン側からは、僕がメンバーらとやっているバンド「アミナダブ」と、アースキャラバン合唱団が出演しました。
--わー、すごいですね!ステージにも出演したとは!・・・で、いかがでしたか?
住職:ご存知のように僕の音楽は、パレスチナ人たちが通常聴いているアラブ音楽とは、まったく違うものです。だから実は、「果たして僕らの音楽なんかウケるんだろうか?」と、内心は心配していたんです。
でもいざステージで演奏してみたら、皆んなすごく喜んでくれました。後で何人もの人が「すごく良かった」とわざわざ言いに来てくれたりしました。司会をやったローレンスからも、涙を流して感想を言いに来た人がいた、と聞いて、僕こそ感動ものでした。
--そうですか! 聞いていて私も感激です。
住職:このフェスティバルの実行委員長であるサミーに引き合わせてくれたのは、ベツレヘム大学教授のマージン博士でした。マージン博士とは去年、僕らがパレスチナをウロウロしているときに運良く連絡が取れて会えた人です。
--いやー、なんだかすごい出会いの連続ですね・・
住職:マージン博士もまた、世界中でパレスチナ問題を講演してまわっている人なんです。だから会えたのは、本当にラッキーでした。当日は満州人の奥さんや生徒さんを連れて演奏を聴きに来てくれました。驚いたことに、マージン博士と周辺の人たちまでが「とても良かったので、アミナダブのCDを買いたい」と言ってくれたんです。僕は、すっかり感激してしまいましたね。アミナダブのステージの後には、アースキャラバン合唱団も出演しました。
--アースキャラバン合唱団は、、どんな歌を歌うのですか?
住職:キリスト教やイスラム教、仏教などの神さまや仏さまの名前を讃えて歌う、「宗教融合合唱団」です。曲は僕が作ったものです。
この時、アースキャラバン合唱団の最後の曲として、アースキャラバンのテーマソングである、「SHARE!」を歌ったんです。歌詞を「パレスチナに自由を!」に替えて、、、。そして、観客みんなと一緒に歌いました。さらに僕らは、歌いながらステージを降りました。そして、ギターを持ってストリートを歩きながら、みんなで歌いました。ストリートに設置されていた第二ステージでも、大勢のパレスチナ人たちと一緒に、「パレスチナに自由を!」♩♫ を歌い演奏したんです。続いての宗教融合ソングでは、みんなで一緒に踊りました。
--パレスチナ人たちも踊るんですか?
住職:パレスチナ人は、みんな本当に気さくな人たちで、踊りも大好きですよ。
子供達ものびのびしています。みんなで一緒に踊りましたね。ベツレヘムでは、街のどこへ行っても、「よく来たね」とか声をかけてくれ、お茶をごちそうしてくれることもあります。
--へー、なんだか意外です。今まで勝手な先入観でイメージしていたんですね。
住職:そのステージの翌朝のことです。ストリートで通りかかった女の子たちがいたんです。すると彼女たちは、なんと昨夜演奏した、「パレスチナに自由を!」を歌いながら、通り過ぎて行ったんです。これには驚きましたね。
インタビュー後記:
宗教融合ソングを、はじめて聴いたときは驚きました。
「大胆すぎはしませんか? りょうきゅうさん!」という気持ちでした。
なにせ、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教、仏教の神様仏様たちの名前が歌詞なんですから。
果たしてこれを中東なんかで、堂々と歌っていいものだろうか?と思ったんです。
ある種の踏み絵的なものを突きつけられたような気すらしました(笑)
わたしに「宗教は戦争の素、、」という刷り込みがあったのでしょう。
歌っている時に銃で撃たれたりしないんだろうか? 、、なんて考えたりしたんです。
ですが、りょうきゅうさんはどこ吹く風、、、。
まるで風のように、“自由にやろうよ!”という感じで、いつものように飄々としています。
そんな自由な息吹きの中、メロディに乗せて歌っているうちに、わたしの心は、いつしか宗教融合の心境になって行ったんです。
パレスチナの方たちの脳裏には、「異国から来た不思議な人たちが、自分たちを応援してくれている!」と焼きついているんじゃないかと思います。