和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。
喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?
遠藤 喨及
東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください。
http://endo-ryokyu.com/blog/
アースキャラバン2017中東篇2
-- 「パレスチナは、メディアの嘘、歴史の嘘、常識の嘘などが如実にわかる
という点では恰好の所」と、先月のインタビューで住職はおっしゃっていました。
住職: そうそう。ホントにそうです。
例えばインドを貧乏旅行したら、「日本の常識は世界の常識でも何でもない」、
ということを強烈に学びます。
一方、パレスチナでの活動は、いかにニュースが嘘っぱちか、
どれほど我々が刷り込まれていたかを、如実に体験するんです。
-- そうなんですか。
住職: もっとも、メディア側がただ単に嘘のニュースを繰り返し流しているだけでは、
人は騙せない。
そこで、あらかじめ学校でも嘘の歴史も教えておくんですね。
-- えーっ!?学校までそうなんですか? それって陰謀論なんじゃないですか?
住職: 学校が嘘の歴史を教えるのは今に始まったことではありませんよ。
分かりやすい例を上げれば、日本人が戦前まで信じ込まされていた、
天皇の先祖が日本を創った、というような話ですね。
昔からそうやって来たんですよ。
じゃあ、今は嘘は教えなくなったのか? というとそんなことはない。
作り話が今の都合に合わせて変わっただけです。
-- 今もあまり変わっていない、、、。
住職: 例を上げたらキリがないのでやめますが、まあとにかく世界中で嘘の歴史を
教えているんですね。
-- それは、何のためですか?
住職: 嘘の歴史を信じていれば、それに合わせた政策に人々は従いますからね。
先の例えで言えば、「天皇の先祖が日本を創ったから、日本人は皆、天皇の子供
である。」ここまでが歴史で、
「日本があるのは、私たちが生きているのは天皇のおかげだ。」
これが国民感情となる。
「だから、日本人は天皇のために死ななくてはならない。
戦地に行って天皇のために死ぬのは善である。」とマスコミが煽り、
戦争政策が決定されていったのです。
-- 、、、、。 それでどれだけの人が亡くなったのかを思うと、罪深いことですね。
住職: 当時、政策に異議を唱えていたら身が危険だったでしょう。
実は今だって、内容によっては、言えば身が危険になるようなこともあります。
だから全部は公言できないんです。
-- そのような話は聞いたことがあります。
住職: ここで、中東問題における歴史についての話に戻すと、例えば世界史では、
「2000年前にユダヤの神殿が破壊され、ユダヤ人は世界に離散した」というこ
とになってなっていますよね。
-- はい。
住職: だから戦後のホロコーストを経て、「ユダヤ人が迫害されない国を造ろう。」
ということになり、その結果、「2000年前に自分たちの先祖がいた土地に帰ろう」
というシオニズムが盛んになった。
やがて、パレスチナの土地に住んでいた人々を武力で追い出し、
イスラエルを建国したわけです。
-- はい。
住職: 現地に住んでいる人々を殺したり追い出して居座り、そこを自分たちの国
として定める、というのは世界中にある建国の普遍的な現象です。
アメリカ、カナダ、南アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア等、すべてそうです。
-- ああ、そうですね。
住職: 大きいか小さいか、目立つか目立たないかの違いがあるだけです。
満州が、今は漢民族が支配する中国になってしまっているように、アジアにしても同じです。
これは日本も例外ではありません。
天皇の先祖も含めて、朝鮮半島の百済から来た人間たちが日本列島に侵入し、
アイヌ人たちを殺したり、追い出したり、混血したりしてできたのが日本だと思います。
-- 今の日本人は、元々いたわけではない、と?
住職: ネイティヴ日本人はアイヌ人ですよ。
それが朝鮮半島から来た侵入者に北と南に追いやられて行った。
だからアイヌ人と琉球人には、DNA的な繋がりがあるんですね。
-- なるほど・・
住職: 日本で韓流ブームが起きたのも、元々朝鮮半島にいた人間たちだからでは
ないかと思いますよ。
調べたわけではないからわからないけど、日本海側は特に渡来人が多かったでしょうから、
その地方では特に韓流人気が高いのではないか、なんて思ったりしますけど。
-- へー! なるほど~。
住職: 聖徳太子の時代は政府中枢の3割が朝鮮半島の人間だった、とあります。
が、それは当時の新参者であって、昔からいた人間はもっと多かったのではないかと
思います。
また、だから現日本人はお上に従順になり易いのではないか、と思いますよ。
逆に反骨精神の強い人はアイヌ人気質が強く現れているのではないか、なんて思った
りしますね。もちろんこれは、勝手な推測に過ぎませんけど。
-- でも、どうしてですか?
住職: 日本列島に侵略して支配したのが、百済から来た人間(現日本人)です
からね。
そして、その強大な権力と闘ったのが、侵略されたネイティブ日本人であるアイヌ人でしょう。
もちろん、混血も進んだでしょうから、今の日本人の中で、
反骨精神のある人はアイヌ人気質じゃなかろうか? なんて考えたりするわけです。
-- なるほど、、
住職: 実は僕、小学校の4年から夏休みの宿題が、二年連続でアイヌ人の研究
だったんです。
なぜか子供の頃からアイヌ人が気になっていて。
夏休みに父親の単身赴任先の釧路にしばらく滞在していた時、
アイヌ文化研究所みたいなところに、毎日のように入り浸っていました。
-- 子供の頃から、、
住職: やはり「元から日本に住んでいた人たちがアイヌ人」ということで興味が
あったんです。
「では、今日本にいる人間は、どこから来たのか?」ということも考えていました。
いわゆる「大陸やら北方やら南方やら、各地から来て混血したのが日本人だ」と聞いても、
正直、違和感がありましたしね。
-- なるほど。
住職: さて、まあここで中東に話を戻すと、イスラエルが他の国と違うのは、他の
「国」が、近代になる前にやっていたことを、あらゆる手を使って現役でやっている、
ということですね。
-- そういうことなんですね。
住職: 他の国は、今さら隠し立てしてもしょうがないことの方が多い。
また、バレても支配に支障が起きないことに関しては、
隠したりあえて嘘をついたりはしないでしょう。
例えば、「アーリア人がインドを支配してカースト制度ができた」っていう歴史は、
今の上流階級のインド人は、皆、ヨーロッパ人だった、ということです。
でも、別に隠し立てしたりしませんよね。
-- はい。
住職: ところが、“もし今のユダヤ人が実際には、2000年前、中東にはいなかっ
た”としたら、イスラエルは困るんです。
-- どうしてですか?
住職: イスラエル建国の理由であるシオニズムが根底から崩れるからです。
イスラエル政府は、「パレスチナは2000年前にユダヤ人が住んでいた土地だ。
聖書にも“神は、ユダヤ人にこの土地を授ける”と書いてある。
だから、ユダヤ人はここに住む権利がある」という論理で建国を進めたのです。
-- その建国の論理もかなり強引ですが、、、。
住職: まあそうですね。でも実際、イスラエル政府はシオニズムの理屈で、
70年前から、ずーっとパレスチナ人の土地を奪い続けている。
そして今も尚、不当にパレスチナ人を追い出し、世界中から呼んで来たユダヤ人を、
パレスチナに入植させ続けているんです。
-- はい。
住職: ところで、もし彼らが言う「2000年前にいた」という歴史が嘘だった、
としたらどうでしょう?
イスラエル建国の正当性も、また今現に行なっている土地の収奪や入植も、
イスラエル政府が行なっていることの全てが正当性を失います。
-- で、実際のところどうなのですか? 世界史で言っていることは嘘なんですか?
住職: 実はテルアビブ大学のサンド教授という人が、「歴史学者の間では常識
だけど、公言できないこと」を本に書いたのです。
それは「ユダヤ人の起源」という本なんですが、英語のタイトルは「ユダヤ人の発明」、
つまりユダヤ人の捏造という過激なタイトルです。
-- えーっ!? ユダヤ人そのものが捏造なんですか?
住職: 簡単に言えば、現在、ユダヤ人と称している白人系の人たちは、2000年前に
中東にいたのではなく、ロシアのカスピ海の辺りにいた人間たちである、と。
-- どうしてロシアに住む人がユダヤ教なんですか?
住職: 当時あったハザール帝国の王様がユダヤ教に改宗し、国民全員がユダヤ教
に改宗させられた、ということです。
-- では当時、エルサレム周辺、パレスチナ地方にいたユダヤ人たちはどこに
行ったのですか?
住職: どこにも行かなかった。世界に離散しなかった。
ただ後にイスラム教が入って来て、その時の支配者が
“イスラム教に改宗したら税金をただにする”と言ったので、イスラム教に改宗した。
つまり、今のパレスチナ人たちが、もともといたユダヤ人たちなんです。
-- 全員が改宗したんですか?
住職: いや全員ではなかったです。
だからパレスチナ人の中にもユダヤ教徒がいるし、白人系に比べたら割合は少ないけど、
人種的に褐色のイスラエル人たちがいます。
彼らは、イスラム教に改宗しなかった、当時のユダヤ人たちの子孫なんです。
-- は~、、、。
住職: となると、一体ユダヤ人というのは何なのか? ということになりますよね?
世界中にユダヤ人はいるし、しかもユダヤ人という「人種」がいるかのように思われて
います。
-- はい。
住職: どうして、そのように皆が思い込んだのか?
これは「日本人・朝鮮半島起源説」と同じく、僕の推測なんですが、
ハザール帝国が滅ぼされた後に、ヨーロッパのユダヤ教徒であるハザール人のことを、
「ユダヤ人」と呼んだのが始まりではないかと、思っています。
-- それまでは、「ユダヤ人」という言葉(呼称)はなかった・・・?
住職: いやあったでしょう。
ユダヤ教は、2000年以上前、パレスチナ地方に住んでいた人々の民族宗教ですから。
かつてユダヤ人=ユダヤ教徒だった時代もあったと思います。
しかしユダヤ教も、キリスト教のように海外に伝播したのです。
-- あまり公にはなっていませんね。
住職: はい。
その上、ナチスのニュールンベルグ法は、
人々のユダヤ人=人種イメージを決定したと思います。
-- それはどんなものですか?
住職: ナチスは、先祖の母方にユダヤ人がいたら、その人はユダヤ人である、
と認定したんです。
そして、「ユダヤ人の血は汚れているからアーリア人は結婚してはならない」
と法律で定めたのです。
同時に、ユダヤ人を公職から追放したり、公民権をも奪いました。
-- 完全にユダヤ人=人種説ですね。それの影響もあるのでしょうね。
今、現在、世界中の人が、“ユダヤ人と言う人種がいる”と思っているのは、、、。
住職: でもイスラエル/パレスチナに行けば、白人系だけでなく、
アラブ系の”ユダヤ人”も、黒人系の”ユダヤ人”もいます。
だから、”ユダヤ人=人種ではない”ことは明白なんですけどね。
-- では、ユダヤ人とは、一体何なのでしょう?
住職: 「家の宗教がユダヤ教」の人のことです。
家の宗教がキリスト教とか創価学会という人もいるでしょうけど、
彼らのことを「キリスト人」とか、「創価学会人」とは言わないですよね?
だから実は、「ユダヤ人」という言葉そのものがおかしいんですよ。
イスラエルでは、ユダヤ教そのものを信じていない人も多いし。
-- ああ、そうなんですか?
住職: はい。
ところで話は変わりますが、実は、私たち日本人も、必ずどこかの神社
の氏子として登録されているんです。
となると、日本人=強制的に神社の氏子ですから、
神道教徒と言うことになります。
宗教だけで人を見れば、日本人を「神道人」と無理やり呼んだって良いのです。
個人的にはイヤでも、氏子として登録されているそうだから、、、。
-- まったく知らなかったです。
住職: 僕も最初に聞いた時は驚きました。
-- ところで、イスラエルではユダヤ教そのものを信じていない人も多いんですか?
住職: 自分で道を求めてユダヤ教徒になったわけではなく、
たまたま「家の宗教がユダヤ教」だった、というだけの話ですからね。
ただユダヤ教は、罪悪感というか、地獄に堕ちるぞ、
とかの脅しをかける要素が強い宗教です。
だから奔放に見えても、子供の頃から宗教教育を受けていれば、
無意識に縛られていることもありますね。
-- 当のユダヤ人、つまり”家の宗教がユダヤ教の人たち”はどうなんでしょうか?
ユダヤ=人種ではないことを知っているんですか?
住職: これがまた面白いんですよ。
これは私たちもそうですが、誰がどう見ても「王様は裸」なのに、
権威ある人も、ニュースも、そして皆もが「王様は立派な服を来ている」
と言っていたら、たとえ目の前に見えているのが裸でも、人間って、
“王様は立派な服を来ている”と、常に自分に言い聞かせるんですね。
-- ・・・すごい心理ですね。でも、分かる気がします。
住職: これと同じようなことが、「ユダヤ人」の概念でも起こります。
イスラエルに行けば、あらゆる人種のユダヤ教徒がいます。
だから、ユダヤ人が人種というのは嘘だと、わかるはずです。
でも、政府が、学校の歴史の教科書が、世界中の人々が
「ユダヤ人」というカテゴリーがあることを前提にしている。
そこで私たちも、また家がユダヤ教の人も、“ユダヤ人という人種がある”と、
自分の無意識に言い聞かせている、と思いますよ。
-- 私たちも、ユダヤ人という人種があるのかと思っていましたしね。
人間心理にはこういうところがあるんですね。
住職: 「自分が何かのカテゴリーの中にいる」というコンセプトは、
誰もが自分の無意識に言い聞かせていることだと思います。
私たちも外国人と接しなかったら、日本人というアイデンティティをさほど
意識することはありません。
でも、外国に住んだりしてアイデンティティを意識すると、
とたん“自分は日本人である”と意識することがあります。
すると、自我の投影が起こって、“日本は特殊な文化を持つ国である”だなんて
自分の無意識に言い聞かせていますよ。
-- ああ、そうですね。
自分が「日本人」だと意識するあまり極端になったりして。
住職: 自分を何かのカテゴリーに入れて意識するアイデンティティは、百害あって
一利なしです。実を言うと、先ほど申し上げた権威ある人、政府、ニュース、皆が
言っていること、これらを信じて行動することが、この世のすべての悪の原因なん
ですよ。
実は、世の中の悪の原因は、アベ政治でも、金融資本でも、軍産複合体
でも、モンサントでもなんでもないんです。
僕はこの世の真の悪の原因を暴いていきたいです。
インタビュー後記
「ユダヤ人」ってなんとなく心にひっかかっていたように思います。
「ユダヤ人」というイメージが心の中で焦点を結ばない、ということもその原因として
あったような気がします。
今回の住職のお話しを伺って、「どおりで焦点を結ばないはずだ、、」と思いました。
中東の歴史については、聞きかじった知識が断片的に
頭の中に点在しているような状態でしたから・・・。
パレスチナの現状、それから私たちに届いている情報、
イスラエル建国の理由、シオニズム、、どれをとっても
すんなりと「はい、そうですか」と飲み込むことができないことばかりですが、
住職のお話しからその断片どうしが呼応し始めたのを感じています。
それから、、「自分を何かのカテゴリーに入れて意識するアイデンティティは、百害
あって一利なしです」 これは、耳が痛い指摘でした。
自分が何かの証明のようにして口にするカテゴリー分けの言葉には、
とにかく何かにおさまっていないと不安になる心があるのかもしれません。
それくらい、自分の存在が心もとないということなのでしょうか・・。
世間からはみ出すことを心底恐れている。
肩書がないと生きることができないんじゃないか?と。
次回は、「この世の真の悪の原因」について、もっと深く聞いてみたいです。