住職に聴く!第十九回 仏の霊的作用からタオ指圧は生まれた 

和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。

喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?

遠藤 喨及
東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください。 http://endo-ryokyu.com/blog/



第十九回

――前回の最後に、”当時、住職が行っていた”仏様の大愛で包む”という霊的な気の作用で、なぜ人が快さを感じていたと言えるのか?”という質問をしました。

住職:はい、ただ申し上げたように、その頃(20代前半)は、自分が霊的な気の作用を行っているという明確な自覚など、なかったんです。
もちろん、自分の気の作用を相手がどう感じているかなども考えませんでした。
――それに、ある時期からは、霊的な気を出す(相手を仏さまの大愛で包む)ことも、意識的に止めてしまったんですよね。

住職:そうです。

――ところで、止めてどうなりましたか?

住職:ある程度、無意識的にやっていたみたいですね。

――へぇー。

住職:自分としては、仏さまから大愛の霊的な働きを受けていることをビンビンに感じていたんです。
だからそれが反射して、ある程度は、自然に他者に対して気の作用が起きていたみたいです。

――なるほど、太陽の光を受けて一部が反射しているようなものですね。

住職:ただ、意識的にするのよりは、パワーは弱まったでしょうけどね。
例えば、電気をつけていなくても、コンセントを入れていれば、そこに微弱の電流が流れているようなものだと思います。

――なるほど。

住職:感覚的には、自分が仏の融合を受けていて快い状態だから、他者にも何となくそれが自然に及んでいたと思うのです。

――当時、自覚としては、どんなものがあったんですか?
住職:自分にあった自覚は、如来の大愛を感じて、心身が溶けたように快いということが1つ。
それと、仏を念じて他者に気を向けると、何か温かいものが、ふあーっと、人に向かって放たれるような感じがするということ、ぐらいですかね。
後者は、やがて封印して、人に向けて出さないようにしましたが。

――封印したのは、人に依存されてしまうからですね。

住職:それに、そんなことやっていると、何だか自分が特別な人間みたいに思われ始めたりするんですよ。
それで、そんなことを思われたりしないように、というのもありました。

――でもそれって、二十代の頃の話でしょう? 人から、他の人とは違う特別な人間に思われるなんて、かっこいいとか、ステキなことだとは思わなかったんですか?

住職:そんなのは真っ平ごめんですね。何と言っても、「あなたは特別な人だから」と妙な持ち上げられ方をしたあげく、道場の後継ぎになることを期待され、旅に行けなくなってしまい、苦しんでいた時期ですよ。

――そういえば、そうでしたね。ところで、ある時期からずっと止めていた、その霊的な気の作用が、”後になって突然体系づけたかたちで復活された”というのは、、、?

住職:まず、封印した後は、そんなことすっかり忘れていたんですよ。

――えっ、ホントですか?

住職:はい、意識からはすっかり消えて去っていました。でも、指圧や経絡を教えるようになって10年ぐらいしてから、突然、わかったことがあったんです。

――と、おっしゃると?

住職:タオ指圧は、患者さんに対して「気の融合」をもたらすことが前提なんです。

――「気心道」(だいわ文庫)という本には、他者の人生の最善を願うと「気の融合」が起きると書いてありますね。

住職:はい。

――その中に、「気の融合を受けた人はリラックスし、何かに包まれたような感覚が生じる」とか、「自他の境界がなくなったかのような心身の快さを感じる」等も書かれていました。
あと、気の融合をどのように起こすかも。

住職:それがどこから来たかを考えたら、かつて自分が意識的に行っていた、霊的な気の作用が元になっていることに気づいたんです。

――なるほど。

住職:気の融合の指導メソッドを開発してから、タオ指圧のクラスでは、気の融合を前提として施術を行うようにと指導しています。また、それによって僕は、20代の頃に自分が人に行っていた気の作用が、一体どのようなものであったのかがわかったのです。

――へぇー。

住職:人がどのように快さを感じていたかがわかったのは、クラスで 気の融合を受けた人が、「リラックスし、何かに包まれたような感覚が生じ」たり、「自他の境界がなくなったかのような心身の快さを感じる」からです。

――そうかあ。

住職:霊的な気のワークによって会得した気の融合を土台として、やがて僕は、経絡の診断や治療を行うようになり、そこから気の医療として体系づけていったのが、タオ指圧です。

――ということは、相手を仏の大愛で包むという霊的な気のワークこそが、タオ指圧の源流ということなんですね。

住職:はい。

――では、念仏体験から生まれた霊的感覚がタオ指圧を生んだ、とも言えますね。
タオ指圧と仏教が切っても切れない関係にあるということは、前から感じてはいました。
それは仏の融合を受けるという霊的体験が、タオ指圧の成り立ちと深く関わっていたからなんですね。

―続く―