和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。
喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?
遠藤 喨及
東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください。 http://endo-ryokyu.com/blog/
タオサンガ篇 (10)
-- 前回のインタビューで、元特攻隊のパイロットだった僧侶の法話の話を伺いました。そこで出てきた「信とは、仏と融合した悟りの状態だ」などの言葉は、常識的に捉えていた“信心”の概念を吹き飛ばしてしまう、と思いました、、。
住職: そうですか。
-- 日本人が“仏教を信じています”ということばをなかなか言えないのは(言うのが気恥ずかしいのは)、常識的に捉えている「信心」という言葉の嘘を無意識にどこか感じているからなのでしょうか、、。
住職: なるほど(^ ^)。
-- その頃の住職は、精神的にボロボロだった・・ということでしたが、当時の住職がもっとも関心をもっていたことは、なんだったのですか?
住職: どんな本を読んでいたかで、自分の関心ごとが何だったかってわかりますよね。
これは以前のインタビュー(※)でもお話ししていたと思いますが、二十代の僕の<読書傾向は、極端な「偏食」でした。
-- 極端というのは?
住職: 宗教の本、心理学の本、戦争(第二次世界大戦)の本の3種類しか読まなかったんです。種類が限られていたから、たくさん読みました。
-- へー!宗教と心理学は近いものがある気がしますが、戦争の本というのが面白いですね。しかも、第二次世界大戦というのが。
住職: 宗教の本は、“救いを求めて”ですし、心理学の本は、自分の苦悩の原因を知りたくて、です。また戦争の本は、自己破滅的なドイツ軍と日本軍に、滅びの美学を投影して読んでいたんですね。
-- あー、そうだったのですね。
住職: 整理すると以下のような連鎖になりますね。
・得体の知れない苦しみによって、自己破滅的になる。
・原因を知りたくて無意識など、心理学を勉強する。
・救いを求めて宗教の本を読み、また念仏修行に励む。
・苦しみを昇華するために音楽を創る、戦争ゲームを創る等々でしょうか。
-- 念仏の修行というのは住職の中ではどのように位置づけられていたのでしょうか?
住職: 始めてからしばらくしたら、生まれて初めて安らかに眠れたし、今までにないような心の安らぎを得たんです。でも今度は、自分は果たしてこのままで良いのか? と悩んだし、さらに真理とは何か? を相当考え続けていたし、何よりも、悟りたかったんです。
-- なぜ、当時住職は悟りたいと思われたのでしょうか?
住職: そもそも瞑想や念仏をするようになったきっかけが、18歳の頃の音楽演奏中の光体験(心理学的には、ピーク体験という)です。
その時、悟りの世界を一瞬、垣間見たような気がしたからです。
それ以来、“悟りによって心の安らぎを得たい”と、心の底から願い続けていたんですね。子供の頃から、心の安らぎなどは全く無縁でしたから。
-- そうだったんですか、、、。
住職: その後は、阿弥陀如来の実在を体験して、ぼろぼろだった心身が一転し、精神的にはまるで一日中温泉に浸かっているような、宇宙大霊の大愛の温かさに包まれるようになったんです。
-- はー、、、。
住職: でも「それで終わり」ではないですよ。後には経典から発見していくのですが、その時は、自分の心身の状態を自分に説明することができなかったのです。だから、その後、自分がどう修行を進めて行ったら良いのかが、まるで見当がつかなかったんです。
-- ええ、、。
住職: 一方、僕は、毎年季節の変わり目になると、精神的に自己破滅状態になっていたのですが、その季節になると、やはり精神的にやられてしまうから、相当、耐え忍ぶことが必要でした。
ただ、面白いことに、阿弥陀如来の臨在体験によって得た心身の温かさや、柔らかさだけは、どんなにぼろぼろの苦悩状態になっても変わらないのが不思議でしたね。
-- へー、、、ところで、元特攻隊パイロットの僧侶のお話の、まだメモの続きがあるそうですが・・?
住職: メモではなく、当時、聞いていた法話を、僕が念仏に呼んで来た人が書き起こしたものです。
以下になりますが、難しいかも知れないですね。今回、読みやすくするために少し編集しましたけど、、、。
https://docs.google.com/document/d/1RAcMnoHr3gdoTjO32-q_UCewMC8ObU2ERaIEnljgwLY/edit?ts=581959d1
※ウェブマガジン「和田寺タオサンガ道場」の「なんでも質問箱」の質問に住職がお答えくださったものです。
https://taosangha.com/question-box/283/
インタビュー後記
元特攻隊パイロットの僧侶・富永嘉元上人の法話を読ませていただくと、むずかしいのですが、面白い!と感じました。書き起こしの文章が、臨場感があって自分もその場にいるような気持ちがしました。こうして、残していただくことは有難いことだ、とあらためて感じました。
大切なことが語られている。その「氣」がジンジンと伝わってきます。
精神的にボロボロの時期に、このような法話に出会われ、住職はより深い修行をされていったのでしょうか、、。
季節の変わり目に自己破滅的になっていたということですが、その得体の知れない苦しみこそが住職を修行の道に入らしめた、と言えるのかもしれません。(違っていたらすみません。)
次回も、聞いてみたいことがたくさんあり、楽しみです!