住職に聞く! アースキャラバン篇 (2)

和田寺の住職は、タオ指圧/気心道の創始者、音楽家など、様々な顔を持つ遠藤喨及(りょうきゅう)さんです。

喨及さんにインタビューして、さまざまな質問に答えてもらいます。
一体どんな言葉が返ってくるのでしょうか・・?

遠藤 喨及
東京に生まれ、少年期をニューヨークで過ごす。浄土宗和田寺住職、タオ指圧/気心道創始者、ミュージシャン、平和活動家、ゲーム発明家など、さまざまな顔を持つ、タオサンガ・インターナショナル代表。 1990年頃より、北米各地、ヨーロッパ各地、中東、オセアニアなどの世界各地で、タオ指圧、気心道、また念仏ワークショップ等を行い始める。 また、それらの足跡によって、世界各地のタオサンガが生まれ、現在、各センターは、仏教の修行道場、タオ指圧*気心道などの各教室、海外援助を行っている。 遠藤喨及個人ブログページもご覧ください。 http://endo-ryokyu.com/blog/

 

アースキャラバンホームページ http://www.earthcaravan.jp/

 

--今年開催されるアースキャラバンで、広島の原爆の残り火を、広島から
自転車で東京まで運び、さらにエルサレムまで運ぶ準備を現在進めています。
この話を聞いた最初は、「そんなこと可能なんだろうか?」と思いました。
ですが、心のどこかでは可能なんだ、というふうにも感じていました。
それにしても、原爆の火をエルサレムに運ぼう、と決めてから住職はどの
ように動かれたのですか?

住職:友人の※岡野弘幹さんがFacebookで原爆の火のことを書いていたのを
憶えていたんです。それで、まず彼に電話して話を聞きました。そうしたら
色々と詳しく教えてくれまして、、、。

okanosan
岡野 弘幹さん
作曲家、音楽プロデューサー
1990年にタンジェリンドリームのクラウス・シュルツが立ち上げたドイツの
IC DIGITよりワールドデビュー。これまでに国内外で17作のソロアルバムを
リリース。映画やテレビ番組、CM等へも楽曲 を多数提供している。 また多くの
市民運動に関わり、環境イベ ント、ピースフェスティバルのオーガナイズでも活動する。

【Web】http://www.tenkoo.com/okanohiroki/

 

--どんな話でしたか?

住職:かつて彼は、イギリスのグラストンベリーというロックフェスティ
バルに毎年出演していて、それに持って行ったと言っていました。火は
オリンピックの聖火点灯用の特注のカイロで持って行くんだけど、国土
交通省の許可が必要で、それには航空会社のOKをもらわなくてはならない。
また航空会社だけでなく、上空を通過するすべての国の許可を得なければ
ならないと、、、。

--なんだか気の遠くなるような話ですね。

住職:ピースウォークのグループがアメリカに持っていこうとしても、
9.11以降は許可がどうしても降りず、貨物船に頼んで南米まで運んだ、とも
言っていました。ただ2日に一度、油を補填しなければならないし、貨物船に
協力してもらわなくてはならない、と。

--大変なので、やめようと思わなかったんですか? キャラバンには他にも
たくさんのプロジェクトがあるし、、、。

住職:僕はすぐ、“どうしたら実現できるか?”だけを考えちゃうんですね。
その時は、他のことは全然考えないんです。それに、他の人ができたことが自分に
できないはずがないとか思うです。そういう時って、「人生の可能性をつぶすのは
絶対イヤだ」という強い気持ちが、子どものころから働くんです。

--漠然と「人生の可能性を拓きたい」と思うのと、「可能性をつぶすのは
絶対にいやだ」と思って行動するのとでは、人生はまったく違ったものになる
でしょうね、、。
それに、住職は、他の人ができたことが自分にできないはずがないと思う
ということですが、私の目には、その住職の行動は、天から与えられた能力
に映るのです。とても真似はできない、と。でもそれは、自分が動かないため
の言い訳なのかもしれませんね、、。

住職:他の人ができたことを自分も同じようにできるようにするためには、
それにかけるエネルギーと行動でカバーするしかないんです。特に僕みたいに、
自分は人より劣っているとう自覚がある場合は、特にそうです。

例えば僕がギターを始めたばかりの17歳の頃は、「自分は絶対に音楽の
才能がない」と思っていたんです。もっとも今だって、自分のことを才能が
あるとは思ってはいないんですが、、、。まあそれはともかく、「うまくなる
練習の方法を見つけて、人の三倍努力しよう」と思ったんです。

--それでどうしたんですか?

住職:ある人に、“とにかく弾き続けたらギターはうまくなるよ”と聞いたんです。
それで毎日休まずに、6時間弾き続けました。そうしたらある時から、がらっと
自分のギターが変わって、人から褒められるようになったんです。

--なるほど、、、。

住職:僕は、あまり結果を考えずに、何でもひらめいたり信じたことを愚直に
続けて来たんです。
だから平和の火のことでも、あらゆる必要なことをする以外は、あまりあれこれ
考えないですね。処世の智慧がないというか、計算が働かないんですね。

--その愚直さに天は微笑まれるのですね。それで、その後は・・・?

住職:ベツレヘムでパレスチナの団体が毎年やる4日間の大きなフェスティバル
で一緒にやることになったんです。
その時は、あまり強く言わなかったんですが、僕は後で広島でのアースキャラバン
実現のために動き回ってから、どうしてもアースキャラバンの終着駅のベツレヘム
とエルサレムを、8/6(広島の日)と8/9(長崎の日)にしたくなったんです。

--私は、前回この話を聞いて、日本で原爆が投下された日に合わせるという
ことが、なにか、人類にとって重要なポイントになるんじゃないかと、そんな
ふうに思いました。

住職:山田和尚さんという、原爆の火を持って全国を行脚し、アメリカまで運んだ
人がいたんです。先日亡くなってしまったんですが、、、、。
その追悼会で会った越智さんという人が、面白いことを言っていました。
それは「8月6日と9日は、広島と長崎の日じゃない。これは人類に原爆が
落とされた最初の日と2発目の日なんだ」と。
これは僕にとって目からウロコの言葉でしたね。広島の人に落とされた原爆、
長崎の人に落とされた原爆ではなく、われわれ人類に落とされた原爆なんだと、
そういう認識を人類は持たなくてはならないですね。

--はい。

住職:それで後日、代表のサミーに頼み込みました。“頼むから、その4日間の
フェスティバルの初日を広島の日にして、最終日を長崎の日をくれ。そう
したら最終日にみんなでエルサレムに移動して夕方9日にフィナーレができる。
あなたがもしそうしてくれたら、僕は、広島原爆の残り火である「平和の火」
を必ず持っていくから”と。

--何だか映画みたいな話ですね。

住職:そのやり取りを、スカイプ(無料のパソコン電話)でして後、しばらく
してサミーからメールが入りました。それには、ベツレヘムフェスの日程を
8・6~8・9にするとを会議で決定した、と書いてありました。

--出来すぎですね!

住職:かくして最終地の日程は、広島ー長崎になった。それで、さっそく
岡野さんに電話して教えてもらったわけです。その時、「広島原爆の残り火は、
福岡県の星野村というところで管理している。そこに申請を出して、いくつか
の条件をクリアーして許可をもらわなければならない。」ということも聞きました。
実は、サミーに「ベツレヘムに広島の火を持っていくから」なんて約束したくせに、
その時点では、原爆の火がどこにあるのかも知らなかったんですよ。
今から考えると、かなり無謀なことやってますねー。たははは。

 

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