「随喜(ずいき)」がもたらした幸せ
35歳にして、大手企業の重役をつとめてい
たキャリア・ウーマンのPさんは、不妊に悩
んでいました。
ご主人とともに考えられる限りの手を尽くし
たそうですが、妊娠にはいたらなかったとい
うことでした。
話を聞いていくうちにわかったのは、
彼女は自分のキャリアに相当の執着がある
ということでした。
また、全てが自分の思うようにいかないと気
がすまないという、性格的な傾向もありまし
た。
さらに、子供を持つ、しあわせそうなカップ
ルを見ると、ひどく嫉妬心を起こすというこ
とも話してくれました。
施術をはじめるに当たって私からアドバイス
をしたことがありました。
それは、嫉妬心を起こしそうになったとき
に、逆にその相手の感じている幸せを、
そのまま自分の幸せとして感じようとする
こと、です。
すなわち「随喜」※の実践でした。
※他の喜びをわが喜びとすること
治療を重ねていくにしたがって、彼女は全て
をコントロールしなくては気がすまなかった
性格を、徐々にといていきました。
気に沿わないことも受け止められるように
なってきたのです。
さらにまた「随喜」とともに、一瞬一瞬を
もっと楽しみ、感謝の気持ちをもつことも、
実践していったのです。
数ヵ月後、彼女は妊娠し、治療は出産まで
続けられました。
その後、彼女は続いて2人目を妊娠し出産
したそうです。
そして、仕事のほうはキャリア・ウーマン
からパートタイマーに転身。
そのせいか(?)現在は家族も含めて幸せに
暮らしているという話です。
記/ Alfred Müller
(オーストリア/ウィーン)